EMCジャパン、サービスプロバイダ向けの新パートナープログラムを発表

日本における第1号パートナーとしてIIJが参加


会見で握手するEMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏(左)とIIJ 執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏

 EMCジャパン株式会社は7月19日、クラウドコンピューティング環境への移行を促進する新たなパートナープログラムとして「EMC Velocityサービス・プロバイダ・パートナー・プログラム」を発表した。

 このパートナー・プログラムは、EMCのサービス・プロバイダ・パートナーによるパブリッククラウドサービスおよびプライベートクラウドサービスの開発、導入、市場展開、販売、提供を可能にするプログラム。日本では、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が、同プログラムの第一号のパートナーとして、本日契約を締結した。

 EMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏は、新パートナープログラムを開始する背景について、「当社では、クラウドビジネスへの取り組みとして、クラウドコンピューティングに適したインフラの提供を始め、インフラ基盤のコンサルや構築支援サービス、クラウドサービス事業者との協業、クラウド関連人材の育成支援などを行ってきた。今回、その中で、サービス・プロバイダとの協業展開を強化することで、当社のハイブリッドクラウド戦略の基本要素であるクラウドサービスの提供を促進していく」としている。

EMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏「EMC Velocityサービス・プロバイダ・パートナー・プログラム」によるエコシステムの構築

 「新しいパートナープログラムでは、EMCのインフラ製品を基盤として、セールス、マーケティング、プランニング、トレーニングなどの分野で、クラウドサービスを提供するサービス・プロバイダを支援する。また、これに加えて、サービス・プロバイダ・パートナーとのエコシステムも拡大し、パートナーの営業活動を支援していく。さらに、今後はサービス・プロバイダ・パートナーに適した製品の開発も進めていく計画だ」と、山野氏はプログラムの概要を説明した。

 具体的には、パートナー各社がEMCのテクノロジーをベースに差別化したサービス「EMC Powered Service(パワード・サービス)」を開発できるように、EMCがビジネス開発とサービス構築の協力を行う。また、マーケティング開発ファンド(MDF)やロゴの提供、グローバル・ファイナンシャル・サービスなどの財政的な支援、営業/技術者向けのトレーニングの実施、EMCの技術サポートとの連携など、フィールド支援から営業支援、マーケティング支援まで、さまざまな形でサポートする。とくに営業支援においては、サービス・プロバイダ・パートナーが提供する他種類のクラウド・サービス・カタログを、EMCの顧客にも紹介することでWin-Winの関係を実現するエコシステムを構築していく。

 「EMC Velocityサービス・プロバイダ・パートナー・プログラム」の対象となるのは、通信事業者、ケーブルサービス、ホスティングサービス、アウトソーシングサービス、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)、エンタープライズ企業など、あらゆるタイプのクラウド・サービス・プロバイダ。世界では、すでに50社以上の企業がパートナーとして参加しており、今回、日本においては、IIJが第1号パートナーとして契約を締結した。

IIJ 執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏新サービス「IIJ GIO 仮想化プラットフォーム VWシリーズ」によるBCP/DRの提供

 IIJ 執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏は、パートナー・プログラムに参加する狙いについて、「EMCのストレージ製品は、ミッションクリティカル環境における信頼と実績をもっていることに加え、業界標準の仮想化基盤であるVMwareとの親和性が高いことを重視した。そして、なにより、ハイブリッドクラウド環境において、サービス品質とコスト効率を両立するテクノロジーを実装している点が大きな魅力だ。パートナー・プログラムへの参加を機に、今後、EMCのストレージ製品とIIJのクラウドサービス『IIJ GIOサービス』を連携させた新たなソリューションの開発や共同マーケティング活動を展開していく」と述べている。

 「EMC Velocityサービス・プロバイダ・パートナー・プログラム」に基づく、主な協業内容は、(1)EMCジャパンの既存の顧客に対するIIJ GIOサービスを活用したハイブリッドクラウドの構築支援、(2)EMCストレージ製品とIIJ GIOサービスを連携させた事業継続(BCP)/災害対策(DR)ソリューションの開発、提供、(3)共同での営業活動およびキャンペーン等のマーケティング活動による新規市場の開拓--の3点。

 この一環として、IIJでは、VMwareとEMCのストレージ製品に対応した新たなクラウドサービス「IIJ GIO 仮想化プラットフォーム VWシリーズ」を、今年8月から提供開始する予定。同サービスは、従来のクラウドサービスに比べ、仮想基盤上のOSやアプリケーションを顧客が自由に設計、構築することが可能で、業務環境や要件に合わせたシステムをクラウド上に容易に構築でき、いわゆる「持たないプライベートクラウド」を実現する。「BCP/DRサイトを自社で独自に構築した場合、多大なコストと時間を要するが、VWシリーズを利用することで、BCP/DRサイトを短期間に構築することができる」(松本氏)という。


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(唐沢 正和)
2012/7/20 06:00