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独Staffbase、現場担当者とのコミュニケーション実現するツールで日本市場へ進出

 ドイツに本社を置くStaffbaseは11日、日本市場に参入することを発表した。同社は2014年に設立された企業で、ドイツをはじめ世界47カ国に顧客を持つ。2024年11月に日本企業が顧客へ加わったことから、日本市場への進出を決定した。今後、カントリーマネージャーなど日本法人のスタッフを雇用し、日本法人設立を行う計画だ。

 同社のソリューションでは、これまで社内情報伝達から漏れていた現場担当者向けの情報発信を行える。創業者でCEOのマルティン・ベーリンガー氏は、「製造業などで働く現場担当者は、会社からスマートフォンが支給されていない、Eメールアドレスも提供されていないことが多く、情報伝達手段は依然として紙が使われている。当社は個人のスマートフォンに企業アプリをインストールし、デジタルでの情報伝達を実現する」と説明。ドイツ同様、製造業が多い日本市場でも顧客獲得が見込めるとしている。

独Staffbase 創業者兼CEOのマルティン・ベーリンガー(Martin Bohringer)氏

 Staffbaseは、当初はスマートフォン向け従業員アプリの提供からスタートした。「核となるのは従業員用アプリ。企業はその企業のオリジナルアプリを作成することが可能で、現場スタッフは個人で利用しているアプリと同様に、アプリストアからダウンロードすることができる」(ベーリンガーCEO)。

 現場スタッフがダウンロードするアプリは、自分が所属する企業のアプリ。A社で働いている人であればA社の、B社で働いている人であればB社のアプリをアプリストアからダウンロードして利用を始める。中身もその企業の情報に即したものとなっている。現在ではスマートフォンアプリだけでなく、企業のイントラネット、SMS、デジタルサイネージ、Eメールなどを提供しているほか、Microsoftとの提携によりMicrosoft 365へと情報発信チャネルが拡大しているという。

 なお、現場担当者向けのコミュニケーションソリューションとしては、日本ではLINE WORKSの「LINE WORKS」、L is Bの「direct」などの製品があるが、こうした競合製品との比較について、ベーリンガーCEOは、「既存の日本製品があることは理解しているが、リサーチしたところ、ノンデスクワーカー向けという点からすると、うまく機能しているアプリはほかにないと判断した。当社の一番のライバルは「紙」だと考えている」と説明した。

 「紙は誰にでも扱える、配布がしやすいといったメリットがある。だが、その一方で問題もある。具体的な例を挙げると、シーメンスでは従業員向けに、社内情報を掲載した雑誌を7カ国版発行しているが、翻訳や印刷などの作業を経るため、全社員にこの冊子が届くころには、すっかり情報が古くなってしまっていた」(ベーリンガーCEO)。

 そこでStaffbaseは、アプリに自動翻訳機能を搭載。自国の言語ではないコンテンツであっても、翻訳した状態で情報を入手できるようにしているという。

 ドイツでは製造業が多いことから、自動車、製造業、ヘルスケアなどの業種に多くのユーザーを獲得しているとのこと。「当社のお客さまは共通の課題を抱えている。導入企業の傾向を見ると、大規模な多国籍企業で、オフィスが複数に分散し、顧客対応にあたっている。この課題こそ我々のビジネスチャンスでもあり、日本市場にも共通の課題があると考える。現場で作業している人が多く、情報格差に苦しんでいると聞いているからだ。本社のPCの中に必要な情報がすべて入っているものの、それが現場スタッフにまで届いていない。製造や顧客に接している現場では、必要な情報が届いていないという課題を抱えている」(Chief People Officerのニール・モーリソン氏)。

日本企業の課題とStaffbaseが提供するソリューション
独StaffbaseのChief People Officer、ニール・モーリソン(Neil Morrison)氏

 製品導入にあたっては、製品を提供するだけでなく導入に必要なコンサルティングなどのサポートも行い、デジタル化への移行支援も行っているという。

 導入企業としては、Adidas、Aldi、Coca Cola、DHL、Samsung、Toyota Finance Australia、Volvoなどの社名を公表しており、社名を公表していない企業も含めると約3000社の顧客を持っているとした。

Staffbaseの顧客

 2024年11月には、日本企業への初導入が決定。その後、複数企業でPoCが進行中だ。製品の日本語化はすでに完了しており、今後、3月中に販売代理店が決定する見込み。カントリーマネージャー、営業部門の責任者などを新たに採用する準備を進めているとのことである。

日本市場へのコミットある取り組み