KDDIとwavelogy、水道管の漏水をAIで発見する実証を宇都宮市で開始

　KDDI株式会社とwavelogy株式会社は2月28日、宇都宮市上下水道局とともに、水道管の漏水をAIで発見する実証を3月1日に開始すると発表した。

　現在の水道インフラは高度経済成長期に整備されたものが多く、年間2万件以上の漏水・破損事故が発生するなど、経年劣化を原因とした漏水事故が増大している。一方で、漏水調査に必要な技術は専門性が高く、技術者の確保・育成・技能の伝承などが、人口減少による人手不足で困難になっており、また、地震などの自然災害が水道インフラに与える損害は大きく、調査・復旧作業における人手不足の解消と効率化が急務となっているという。

　KDDIとwavelogyは、これらの技術者不足、復旧作業の長期化などの課題について、宇都宮市上下水道局とともに、AI・ICTの活用による解決に向けた協議を行い、今回の実証を実施する。

漏水検知ツールと収集したデータの可視化イメージ

　実証では、宇都宮市上下水道局の漏水調査エリアにおいて、wavelogyのAI漏水検知ツール「SuiDo」の有用性を検証する。まずは、漏水音データ収集の運用確立およびデータ収集から開始し、AI漏水判定の確度向上にも取り組む。

　漏水音データの収集技術の検証では、特定の技術者に依存せず、漏水音を効果的に収集する手法を検証する。具体的には、漏水調査を「漏水音の収集」と「漏水診断」の2つに分け、簡便なツールを用いて漏水音の収集を効率化する取り組みを行う。また、収集した漏水音データをモバイルネットワークで分析環境に伝送することで、調査や復旧作業の効率を向上させることを確認する。

　また、収集した漏水音から漏水診断を行うプロセスをAIがサポートすることで、技術者不足による調査・復旧作業の遅延を回避し、対応の迅速化への有効性を確認する。

　さらに、専門の漏水調査技術者がAIの診断結果を分析し、フィードバックすることで、AIの診断確度を向上させることの検証や、専門技術者の判定結果および漏水音データを統合・可視化するプラットフォームを提供し、漏水調査の効率化だけでなく、技術者の育成にどのように寄与するかを検証を行う。

　これらの検証を通じて、漏水調査業務に携わる技術者の作業負荷軽減や、技術者の知見を生かしたAI診断の確度向上、さらには次世代技術者の育成に貢献し、水道管の漏水調査業務の効率化と人手不足の解消を目指す。

　KDDIとwavelogyでは実証の結果をもとに、水道管の漏水調査業務の効率化と人手不足の解消に向け、2028年度の実用化を目指す。