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NTTデータとVANTIQ、生成AIを活用した災害情報連携基盤の進化に向けて協業

災害対応における、現場でのアクションの最適解導出を図る

 株式会社NTTデータとVANTIQ株式会社は、NTTデータが提供する災害情報連携基盤「D-Resilio連携基盤」において、生成AIを活用した連携強化を4月より実施すると発表した。

 D-Resilio連携基盤は、災害の予防、事前対策のフェーズから、初動対応、応急対応、復旧復興対応のさまざまな場面で活用可能なコンテンツを備え、行政や企業の災害対策業務を支援するソリューションである。

 NTTデータは、この基盤を2023年より提供してきたが、同基盤を活用したさらなるサービス拡充のため、「デジタルタイムライン」を構想している。これは、従来は各自治体がアナログで策定していたタイムラインをデジタル化し、「D-Resilio連携基盤」が扱う防災情報と組み合わせることによって、災害状況を単に把握する(知る)だけでなく、時々刻々と変化する災害状況の中で、今とるべき最適行動がわかる(行動できる)ことを目指すものである。

 そのためには、D-Resilio連携基盤にリアルタイムに集約された気象・災害情報などの一次情報を、即時、適切な情報、つまり「現場の意思決定に必要な情報」へと変換し、利用者へ提供する必要があるという。そこでNTTデータでは今回、VANTIQとの連携を強化し、「D-Resilio連携基盤」の進化を図るとした。

 具体的には、VANTIQが提供するソリューションのうち、生成AI機能を介して、LLM(大規模言語モデル)とRAG(検索拡張生成)を活用することで、計画と実績を基に、災害対応における現場のアクションの最適解を導出するシステムの実現を図る。

 具体的には、3つの点で活用効果が期待されているという。1つ目は、リアルタイムでの状況の変化を検知。リアルタイム情報の処理に強みをもつVANTIQのソリューションは、状況の変化を即座に理解するため、現在の状況と予測情報を組み合わせて、刻々と変化する状況をタイムラインに反映可能という。

 2つ目は、経験と勘に頼らない対策案の提示。各自治体が策定した避難行動計画をVANTIQのソリューションのRAGに取り込み、タイムラインには、災害の発生を前提とした準備タスクと発災時におけるアクションを、各自治体にとって最適な形で提示するとした。

 また3つ目は、実績データのフィードバックによるRAGのさらなる最適化。「計画」だけではなく、実際にシステムを使用して得られた「結果」もRAGに使用することで、計画と実績のズレ、相違も踏まえつつ、次回発災時に向けてさらなる最適解の導出を図るとしている。

 なお現時点では、タイムラインは、各自治体で用いられることを前提としているが、時々刻々と変化する気象・災害情報をもとに、現場でとるべき最適な行動を提示できることは、企業におけるBCPをはじめ、さまざまな組織体や分野でも適用可能なことから、両社では、「D-Resilio連携基盤」にVANTIQの生成AIの技術を掛け合わせることで、精度の高いデジタルタイムライン活用事例の拡大を目指す考えだ。

生成AIを活用した将来構想