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クラウドERP導入推進を目的にコンソーシアム発足、テラスカイなど3社で Salesforce基盤を活用

ERP Cloud 360コンソーシアム設立

 株式会社テラスカイ、株式会社シナプスイノベーション、株式会社チームスピリットの3社は27日、中堅企業向け ERP の促進を目指し「ERP Cloud 360 コンソーシアム」を設立した。Salesforceのプラットフォーム上に、企業の「顧客・経理・人材・工場・営業/調達」を360°の観点で活用する仕組みを構築。さらに自律型AIの活用により、企業の人手不足という大きな課題解決に貢献するシステムとすることを目指す。

ERP Cloud 360とは

 また、3社以外にもパートナーを募り、製品の導入、販売などトータルにサポートする体制を作るとした。今回、コンソーシアム体制としたのも、パートナーと連携しクラウドERP導入を進めていくことが狙いで、参加パートナーをさらに募っていく考えだ。

登壇したERP Cloud 360コンソーシアム 理事メンバー。左から、株式会社シナプスイノベーション 代表取締役 常務の鈴木孝信氏、株式会社テラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏、株式会社チームスピリット 代表取締役CEOの道下和良氏

中堅企業向けクラウドERPの導入を支援

 今回のコンソーシアムは、日本に1万社存在するとされる、従業員数百人から1000人までの中堅企業をターゲットに、クラウドERP導入を進めていくもの。クラウドERPも多数存在しているものの、大企業向け、小規模企業向けに比べ中堅企業向け製品は少ないとして、積極的に製品販売を進めるとした。

 また、ERP Cloud 360コンソーシアムの理事メンバーで、テラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏は、中堅企業には次のような課題があると指摘する。

 「官邸が2024年は中堅企業元年としており、さまざまな支援策が提供されている。しかし、中堅企業にはさまざまな課題がある。特に深刻なのは人材不足で、従来の半分の人材しか確保できないといった事態が起こる可能性がある。労働力不足をカバーするために、自律型AIを導入することが必須となっていくのではないか」。

株式会社テラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏

 こうした背景を受け、ERP Cloud 360コンソーシアムでは次の3つのビジョンのもとに設立されたという。

1)中堅企業がデジタル化を推進するための新たな選択肢となる
2)Salesforce Platformの利点を活かしてエコシステム全体で継続的なイノベーションを中堅企業に届ける
3)急発展するAI技術を活用して中堅企業が直面している労働力不足の現実課題を解決する

ERP Cloud 360コンソーシアムのビジョン

 具体的には、Salesforceをプラットフォームとして活用し、製造・販売はシナプスイノベーションの「UM SaaS Cloud」、会計とワークフローはテラスカイの「mitoco」、人事はチームスピリットの「チームスピリット」を導入する。

ERP Cloud 360コンソーシアムのトータルソリューションスキーム

 理事になっている3社のほかに、コンソーシアムの特別賛助会員としてセールスフォース・ジャパン、ERP Cloud 360の仕入販売、導入・開発・サポートを行うプレミアムパートナーとして現在は3社、ERP Cloud 360の導入・開発・サポートを行うサービスパートナーとして現在は8社、顧客を紹介するリファラルパートナーとして9社が名を連ねている。

ERP Cloud 360コンソーシアム体制

 理事であり、チームスピリットの代表取締役CEOの道下和良氏は、「以前から製品販売していく中で、お客さま側から『ERPはないのか?』と聞かれることも多かった」と説明。今回、コンソーシアムとして顧客のニーズを360°カバーできる製品をそろえたことでビジネスにプラスがあると指摘する。

ERP Cloud 360コンソーシアム 理事メンバーで、株式会社チームスピリット 代表取締役CEOの道下和良氏

 今後はコンソーシアムとしてビジネスの共創、ビジネスに関するルールの整備、市場調査などを実施し、ビジネス拡大につなげる。

 パートナー企業に対しても提供する製品を理解してもらうために、勉強会の実施など学習サポート、営業資料の提供など営業サポート、さらにミーティング開催などその他のサポートを行って、販売を支援していく。

 ERP Cloud 360のメリットとして、Salesforceのプラットフォームを採用していることで、マスターデータの統合、同一のソフトウェア技術で統一化されていることが挙げられる。

 セキュリティに関しても、Salesforceプラットフォームではトラブルが少ないことから、「セキュリティ被害に悩む企業にとっては、被害を抑えることができる」点も大きなセールスポイントという。カスタマイズについては、ノーコード開発を利用することが可能。さらに、クラウドの特性として導入後も進化が続いていくことになる。

ERP Cloud 360の主な特徴

 理事であるシナプスイノベーションの代表取締役 常務・鈴木孝信氏は、「SaaSで提供されている業務システムは、部分最適化されたものが非常に多く、連携して使おうとすると、マスター・データも異なり、連携が本当に難しいのが実情となっている。今回の3社は、それぞれの機能が個別で動くものの、Salesforceという同一プラットフォーム上で動くことから、お客さまに煩雑さを感じさせることなく利用してもらうことができる。さらに、ユースケースを練り、かなり広範囲の業務領域で使ってもらうことができる」と3社が連携したメリットをアピールした。

ERP Cloud 360コンソーシアム 理事メンバーで、株式会社シナプスイノベーション 代表取締役 常務の鈴木孝信氏

 このほか、コンソーシアムの特別賛助会員であるセールスフォース・ジャパン 専務執行役員 アライアンス事業統括本部 統括本部長の浦野敦資氏は、「Salesforceプラットフォームは、年に3回のバージョンアップをはじめ、日々進化している。我々のプラットフォームを採用いただいたパートナーのアプリケーションについても、進化をお手伝いしていくことができる。それから2点目のメリットとして、マーケットの開拓につながる。私どもも日本国内だけでもたくさんのお客さまがおり、そのお客さまにもアピールすることができる。一緒に市場開拓していくことができれば」と話している。

ERP Cloud 360コンソーシアム 特別賛助会員、株式会社セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 アライアンス事業統括本部 統括本部長の浦野敦資氏