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古河電工、生成AI需要を受けデータセンター向け水冷モジュールの製造工場を日本とフィリピンに新設

 古河電気工業株式会社(以下、古河電工)は24日、データセンター向け放熱・冷却製品(以下、ヒートシンク)の開発拠点である平塚工場と、主力生産拠点であるFURUKAWA ELECTRIC THERMAL MANAGEMENT SOLUTIONS & PRODUCTS LAGUNA(以下、FTL)のフィリピン工場と同じLaguna工場団地内に、データセンター向け水冷モジュールの製造工場を新設すると発表した。

 古河電工では、データセンターで用いられるCPU・GPUなど演算装置の放熱・冷却を行うヒートシンクを開発・設計し、データセンター向け製品として展開している。2019年には、ヒートシンクに対する国際的な調達ニーズの多様化とBCPを踏まえ、安定した製造体制の構築を図るため、FTLを開設した。

 近年は生成AI市場の著しい成長を背景に、データセンターの高発熱化に対応する高性能なヒートシンクへの要求が高まっていると説明。従来は、ヒートシンクにファンで風を送って放熱する空冷方式が主流だったが、今後は、流路を設けたコールドプレートを素子面に搭載して、水などの液体を循環させて熱を回収する水冷方式の適用割合が増加すると見られており、古河電工では従来の空冷方式に加えて、水冷方式によるソリューションについても研究開発を行っているという。

 こうした状況を受け、古河電工では2026年度の水冷方式の量産開始に向け、同社の平塚工場とFTLと同じLaguna工業団地内に、データセンター向け水冷モジュールの製造工場を新設する。これにより、国内拠点における設計開発力の強化と、BCPを踏まえた多拠点による製造体制の整備を図り、生成AIの普及を支えるデータセンターの進化に貢献していくとしている。水冷モジュールの売り上げは、2026年度60億円、2027年度250億円を計画する。

 なお、FTLでは、使用する全ての電力が再生可能エネルギー由来の電力で、新設する製造工場についてもスコープ1・2の温室効果ガス排出量はゼロになると説明。また、平塚工場で使用する全ての電力についても、再生可能エネルギー由来の電力を導入し、スコープ2の温室効果ガス排出量はゼロになるという。

 古河電工は今後も、高性能・差別化製品の提供により、成長著しい通信インフラ分野の発展に貢献していくとしている。

FTL新工場(建設中)