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NTT Com、竹中工務店の3社、工程関連データを連携させた「施工管理業務のDX」実現に向けた協業を開始

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は11日、株式会社竹中工務店および清水建設株式会社と、建築現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けた協業を開始したと発表した。

 これまで、NTT Com と竹中工務店、NTT Comと清水建設がそれぞれ、建築現場のDX実現に向けたソリューションを検討してきたが、今回3社が協業して共同で検討することで、より一層の開発促進を目指すとしている。

 協業では、建築現場において日々行われる、工程管理、リソース手配、作業指示などに必要なさまざまな施工管理情報を、工程表の計画から作業日報に至るまでデジタル化し、これらを連携させることにより、工程と作業をつなぐ施工管理業務全体の生産性向上に取り組む。

 近年、建設業界では、時間外労働の上限規制や就業人口の減少・高齢化などの課題に直面しており、DXによる建築現場全体の生産性向上が急務となっている。

 建築現場では、図面に描かれた建築物を工程表で定められたスケジュールに従って施工しており、図面情報についてはBIMを活用したDXが進みつつあるが、工程情報についてはいまだにアナログな管理も多く、DXが進んでいるとは言えない状況にあるという。また、工程管理は建築施工管理の根幹であり、全ての現場員、作業員に関係するため、そのDXがもたらす生産性向上効果は極めて大きいと考えられると説明。そこで、竹中工務店、清水建設、NTT Comの3社で、工程情報に着目した「施工管理業務のDX」を進め、建築施工管理全体の革新と生産性向上を目指すとしている。

 これまで提供されてきた建築現場の施工管理業務に関するITソリューションの多くは、それぞれの業務に分かれて特化しており、ソリューション間での実用的なデータ連携ができていなかった。これは、工程表には、工事全体の大きな流れが記載されるのに対し、作業日報には各工程の中で行われる作業の詳細(作業の人員数や具体的な作業項目など)が記載されるなど、

 協業では、これまでの建築現場の施工管理業務に関するITソリューションは、それぞれの業務に分かれて特化しており、ソリューション間での実用的なデータ連携ができていなかったという課題に対応。工程表から作業日報までの各施工管理に関わるデータを、情報粒度の差異を調整しながら、実用的なデータ連携を実現するロジックを開発することで「施工管理業務のDX」を実現させ、ゼネコンおよび協力会社を含めた現場関係者が広く利用することで、プロセスを革新し、建築現場の生産性向上や働き方改革を推進する。

 3社はワーキンググループを設置し、施工管理業務のDXを実現するソリューションの構築と建築現場への実装・定着化を行うとともに、DXにより得られたデータの利活用により、さらなる施工管理業務の高度化と業務プロセスの最適化を目指す。竹中工務店と清水建設のプロジェクトで磨き込まれたソリューションを、NTT Comから広くサービス提供することで建設業界に貢献するとしている。

 ソリューションにより、工程表のデータがリソース手配や作業指示、作業日報まで引き継がれるため、重複入力の手間や転記誤りによる手配ミスが防止できる。工程データにひも付く形で「労務」「材料」「施工スペース」「建機」などのリソースの実績データを利用することで、工程計画の精度向上に寄与する。将来的には、工程表作成、リソース手配、作業指示などが半自動的に行われる施工管理を目指す。

 また、蓄積されたデータを活用することで、リソースに関する生産性指標や工程進捗などを可視化できる。研究レベルでは検討が進んでいる、工程シミュレーション、4DBIM、工程表の自動生成、建設ロボット連携といった先端技術を、実務レベルで展開するための基盤となることが期待される。

 さらに、建設業界ではBIMなどの分野でデータの標準化が進んでいるが、工程や作業の情報については標準化が進んでいなかったが、竹中工務店と清水建設のプロジェクトを通して、工程情報の標準化を検討するとしている。

 3社は、協業により構築するDXソリューションの建築現場での利用・定着化に取り組み、施工管理業務のDXを推進することで、建設業界全体のプロセスを革新し、生産性向上や働き方改革を推進する。また、これらのデータ利活用による新たな価値創造にも取り組んでいくとしている。