ニュース

慶應SFC研究所と富士通、インターネット上のデータの確からしさを確認できる「Trustable Internet」のコンセプトに関するホワイトペーパーを公開

 慶應義塾大学SFC研究所と富士通株式会社は13日、共同研究拠点「トラステッド・インターネット・アーキテクチャ・ラボ」における研究の成果として、既存のインターネット層とアプリ/Web層の間に、新しい階層「Endorsement Layer」を追加し、インターネット上のデータの確からしさ(正しさの程度)を汎用的に確認可能とする「Trustable Internet」(信頼できるインターネット)のコンセプトを策定し、そのホワイトペーパーを公開した。

 Trustable Internetは、インターネット上のデータの確からしさを容易に判断できるよう、発信者または第三者が元のデータの確からしさとして裏付け可能な情報を付加し、利用者との間で共有するEndorsement Layerをインターネットの階層上に追加することで、データの確からしさを確認可能とする新しいアプローチ。この構成は、既存のインターネットに影響を与えず実現可能なため、インターネット利用者は従来通りにWebとアプリケーションを利用し、必要に応じてデータの確からしさの根拠となる情報を取得できる。

「Endorsement Layer」のイメージ

 確からしさの判断の根拠となる付加情報は、生成者(人・法人)の名前や所属、資格、または生成した機器、場所、日時など、データ生成時に人と機器が付与するもののほか、専門家のような第三者によるデータへの確認・評価など、データ生成後に付与されるもの、さらにはセンサーの計測値といったフィジカル空間から得られるものがある。

 これらの付加情報をEndorsement Layerにグラフデータとして蓄積し、利用者がインターネット上のデータを閲覧する際に、Endorsement Layerから付加情報を検索・確認したり、確からしさを判断するために必要な情報をリクエストしたりすることで、利用者がデータの確からしさを判断可能になる。

 これにより、多角的な視点からデータの確からしさを判断できるため、データに基づく意思決定をより正確にすることと、確からしさが不明なデータの拡散を防ぐことが可能になるとしている。

 慶應義塾大学SFC研究所と富士通は今後、2028年度までのTrustable Internet実現に向けて、Endorsement Layerをインターネット上に搭載するためのWebプロトコルなどの技術開発や、データの確からしさを裏付け可能な情報を付与するためのインセンティブ設計を含むエコシステムの構築などの取り組みを推進し、さらにはW3Cなど国際標準化機関でのプロトコルの提案および承認を進め、信頼できる新しいインターネットの実現を目指すとしている。