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NTT、通信量を制御することで途切れにくいWeb会議を実現する体感品質・データ通信量最適化技術(Mintent)を確立

 日本電信電話株式会社(以下、NTT)は30日、サービス利用者や提供者がサービスに求める要件(インテント)がサービスごとに異なることに注目した、体感品質・データ通信量最適化技術(以下、Mintent)を確立したと発表した。

 NTTはこれまで、サービス利用者や提供者がサービスに求める要件がサービスごとに異なることに注目し、Mintent(インテントAIメディエータ)の研究開発をしてきた。サービス利用者や提供者の要件を満たすためには、ネットワーク、クラウドサーバー、アプリケーションが解釈可能な数値情報に変換する技術を確立し、そこから得た情報に基づきICTリソースを制御する技術を確立することが重要になる。

 例えばWeb会議サービスでは、サービス利用者の端末が高いスループットの高速回線に接続した場合などには、映像品質を高めるために、過剰なデータ通信量で映像を送信する。そのため、既存回線に接続した場合、回線の輻輳などによりスループットが大きく変動すると、映像品質の低い小さい映像データでの送信に対応できず、Web会議が途切れてしまうなどの問題が発生する。

 そこで、NTTでは、Web会議サービス利用者の要件である途切れにくいWeb会議を実現するため、サービス利用者がWeb会議を利用した際の体感品質に基づき、サービス利用者のデータ通信量を制御する体感品質・データ通信量最適化技術(Mintent)を、Mintent(インテントAIメディエータ)の一技術として確立を進めてきた。体感品質・データ通信量最適化技術(Mintent)では、各サービス利用者の数十秒程度将来の体感品質が適正品質を満たすための送信映像データ通信量を、Web会議サーバーから得られるビットレートなどの映像情報から計算し、適正品質を維持可能なデータ通信量を利用端末に指示する。これにより、適正品質を満たしつつ、データ通信量を低減でき、途切れにくいWeb会議を実現した。

体感品質・データ通信量最適化技術(Mintent)

 NTTはエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(以下、NTTコムウェア)と共同で、サービス利用者の要件である「途切れにくいWeb会議」を実現するため、体感品質・データ通信量最適化技術(Mintent)を用いた共同実験を進め、過剰なデータ通信量を流さないよう制御する実験を2021年3月から実施した。

 実験では、Mintentを組み込んだWeb会議サービス「letaria」を利用するPC2台、スマートフォン1台でWeb会議を実施し、その際の体感品質とデータ通信量を計測した。従来技術では、サービス利用者の端末が高速な通信回線に接続すると、適正品質以上の過剰な体感品質で、かつデータ通信量も多い結果が得られたのに対し、Mintentではサービス利用者が適正品質でサービスを体験しながら、従来技術と比較してデータ通信量を最大で63%低減できることを確認できたという。

 Mintentをletariaに組み込むことで、高いスループットの通信回線が輻輳した場合でも過剰なデータ通信量で送信することなく、適正品質で途切れにくいWeb会議サービスの利用が可能になるとしている。

 NTTは、体感品質・データ通信量最適化技術(Mintent)がデータ通信量を低減することで、利用端末の電力消費量の低減にも役立つことが期待されるため、その確認を進める予定と説明。また、NTTコムウェアは2022年度中に、Mintent(インテントAIメディエータ)の後続技術として、NTTが確立済みのクラウドサーバー制御技術であるサーバーリソース最適化技術(Mintent)もletariaに組み込み、システムの安定性とスケーラビリティを最適なリソース量で実現することを計画するとしている。

 今後、NTTはWeb会議サービスだけでなく、映像配信サービス視聴時の視聴時間を長くしたいといった要件や、コネクテッドカー制御時の車内外の状況から異常を検知したいといった要件への対応など、Mintent(インテントAIメディエータ)技術適用に向けた検討を進めるとしている。