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KDDI総合研究所、Beyond 5G/6Gに向けた暗号アルゴリズム「Rocca」を開発、256ビット暗号で100Gbps超の処理性能を実現

 株式会社KDDI総合研究所は9日、兵庫県立大学大学院 情報科学研究科の五十部孝典准教授の研究グループと、Beyond 5G/6G時代に求められる処理性能と安全性を備えた新しい共通鍵暗号アルゴリズム「Rocca」を開発したと発表した。

 Beyond 5G/6Gでは、100Gbps超の通信速度を目標に研究開発が進められており、大容量映像伝送などの超高速通信が求められるサービスを実現するには、同様の処理性能を持つ暗号アルゴリズムが必要となる。

 KDDI総合研究所では、Beyond 5G/6G時代に求められる共通鍵暗号技術の要件として、通信速度のボトルネックとならない100Gbps超の処理速度を実現することや、量子計算機による解読への耐性を持たせるため、256ビットの鍵長をサポートすること、暗号化と認証機能を統合し、データが改ざんされていないことを保証できるアルゴリズム(認証付き暗号)とするという3点があると説明。これらを満たす暗号アルゴリズムとして、Roccaを開発した。

 開発した認証付き暗号アルゴリズムのRoccaは、PCやスマートフォンのCPUで高速に処理可能な演算を主な構成要素とし、それらを効率よく並列処理することで高速性を実現。さらに、十分な安全性が確保できる構造に配置することで、高速性と安全性を両立した。

 米国標準暗号アルゴリズムとして広く使用されているAESとの速度比較では、AESでAES-NI(AESの処理を高速に実行可能な命令セット)を利用しない場合との比較で100倍以上、AES-NIを利用した場合でも約4.5倍の高速化を達成した。また、256ビットの鍵長に対応する認証付き暗号アルゴリズムとして初めて、100Gbpsを超える138Gbpsの処理性能を実現しており、これはソフトウェア実装された256ビットの鍵長に対応した認証付き暗号の計測結果として、世界最速になるとしている。

 KDDI総合研究所では今後、アルゴリズムのさらなる高速化に取り組むとともに、外部機関とも連携した詳細な安全性評価を実施していくと説明。将来の実用化に向け、スマートフォン上での動作など、実際の利用を想定した環境での性能評価についても取り組んでいくとしている。

Roccaの処理イメージ