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セゾン情報システムズ、コア事業のFinancial/流通事業の現状と今後を紹介

 株式会社セゾン情報システムズは27日、実績あるFinancial IT、流通ITの強みと今後の展望について説明会を実施した。

 Financial ITでは、1983年のセゾンカード発行以降、クレジットカードにまつわるさまざまなサービスを提供するための情報システムの開発を進めてきた。今後はこの実績を生かした強みと、SDGsを踏まえた新たなFinancial ITサービス提供を進める。

 もう1つの強みである流通ITでは、流通業に加え航空、生保、証券、不動産業の顧客を持っている。今後はこの実績を生かしながら、新サービス構築や既存ユーザーの基幹システム強化などを進めていく。

コア事業として展開するFinancial IT事業

 セゾン情報システムズでは、「2024年までにありたい姿」として、収益の安定期版となる「コア事業」、高付加価値で高収益、高利便性、変化に迅速に対応する「戦略事業」をもち、SDGsへの貢献を果たすデータエンジニアリングカンパニーを掲げている。

 Financial IT事業は、この中のコア事業に位置付けられるもので、社名からわかるように、同社ではセゾンカードが1983年に誕生して以来、クレジットカードの情報システム開発を担当している。流通系クレジットカード会社の情報システム担当として、クレジット審査関連の開発や債権回収の開発、各システムに散在していた1000万件のデータの統合や加工などデータ移行やマイグレーション、ビッグデータプラットフォーム構築やオープン系システム基盤など基盤構築、データセンターサービスや自社クラウドサービスなど運用など、さまざまな実績を持っている。

Financial IT事業の歴史
セゾン情報システムズの実績

 こうした実績を伴った自社の強みについて、セゾン情報システムズ 執行役員 フィナンシャルITサービス ビジネスユニット長の朽木実氏は、「当社の強みは、開発・運用・基盤・移行、さらにコンサルティングと社会インフラであるクレジットカードの情報システム部分を開発から運用、基盤構築、移行、コンサルティングとワンストップで提供した実績を持っている点にある。開発の実績のみを持っているベンダーが多い中、ワンストップで全行程を手がけてきた実績を持っていることが最大の強みだ」とアピールする。

セゾン情報システムズ 執行役員 フィナンシャルITサービス ビジネスユニット長の朽木実氏

 今後のビジョンとしても、「AI/ML、RPA、ビックデータ解析、Robotコール等の先端技術を駆使し、業務生産性の飛躍的向上、サービスを利用するお客さまのデジタル空間における新たな体験価値の創造を支援する」と、これまでの実績と強みを生かした展開を標榜している。

Financial ITの強みを生かした価値の創造

 事業方針として、(1)金融業界におけるDXをリードし、お客さまのイノベーションを加速させる、(2)最高品質のサービスを、お客さまに寄り添い、短期間で成果の出せるサービスを提供し続ける、(3)DXを通じてお客さまと真のITパートナーとなること――を挙げる。

 さらに、DXによってSDGsにつながるサポートや新サービスを提供する。「デジタル技術を使ったビジネス変換、転換を支援していく」(朽木氏)方針だ。

Financial ITの強みを生かした価値の創造

 具体的には、2024年1月にサービスが終了するISDN(INS)を利用しているユーザー向けに、代替としてインターネットへの切り替えを行う。クレジットカード会社の場合、現在接続している提携先、金融機関に影響を与えないよう切り替えを進めることが必要となる。現状の課題として、多様な回線/プロトコルへの対応が必要、既存システムへの影響の局所化、インターネット接続時の情報漏えい、改ざんなどのリスクを抑えなければならない。

 INS代替となる新サービスとしては、デファクトスタンダードに対応できるGW機能、中継サーバー位置付けでの代替ソリューションの配置、PCI DSS準拠でのサービス提供を行う。

INS代替 新サービス

 また、コールセンター業務の人件費などコスト削減につながる新サービスとして、コールセンター自動応答サービス「ロボットコールサービス」を提供し、コールセンター業務で特に負荷が高く、定型的な対応の多いアウトバンドサービスを自動応答化する。同サービスでは、「対象者リスト」と「スクリプト音声」を登録するだけで、自動応答を迅速に開始することが可能なほか、クラウドを利用し安価で迅速にスタートできる。なお、月間40万件のアウトバウンドコールのうち、20万件を自動化し、コロナ禍で対応要員が8割だった時にも対応可能だった実績をベースにサービス化しているとのことだ。

 さらに、システム移行、データ移行開発、業務移行という3つの移行サービスをワンストップで提供する「データ移行サービス」も用意した。システム統合やパッケージのリプレース、多様な移行シナリオに対応し、スクラッチ開発が不要で手作業の移行をRPA連携による自動化で進めていく。移行事例として、データ移行支援によりプロジェクト体制を立て直し、システム統合が成功。新規事業に、より柔軟に挑戦できる環境を実現することができたケースがある。

ロボットコールサービス
データ移行サービス

もう1つのコア事業である流通ITサービス

 今回の説明会で紹介されたもう1つのコア事業が、流通ITサービス事業ビジネスユニットだ。これまで50年間に渡り実施してきた事業で、大手スーパー、百貨店、商業デベロッパー、航空会社、生保・損保、証券交換所、不動産会社などの顧客を持っている。

 セゾン情報システムズ 執行役員 流通ITサービス ビジネスユニット長の菊地博氏は、「50年にわたり、流通のお客さまに寄り添ってきただけに知見を持った社員が多く存在する。お客さまにより沿い運用を行ってきただけに、流通の課題を熟知したメンバーがいることが最大の強み」とアピールする。

 例えば、長年ビジネスを行ってきた航空会社向けでは、大量トランザクション、ノンストップ運用を支えるノウハウを持っていることを大きな強みとする。マルチデバイス対応、不正アクセス対策、大量トランザクション設計、排他制御、無停止運転などを実現してきた。

流通IT事業の強み(流通小売)
流通IT事業の強み(航空)
セゾン情報システムズ 執行役員 流通ITサービス ビジネスユニット長の菊地博氏

 こうした強みを生かし、今後の事業方針として、時代環境に即した流通を実現する新サービスの創出、既存のお客さまの基幹系システム最適化、継続的なセゾン情報システムズブランド向上の取り組み――、といった3点を掲げる。

今後の事業方針

 事例の1つが大手小売業の帳票電子化と情報検索システムの構築。4カ月でAmazon Web Services(AWS)上に電子帳票基盤を構築し、年間500万ページに達していた紙の帳票を完全に廃止した。

 もう1つの事例が、百貨店のECサイトの商品登録の自動化。EC商品の登録作業時間を約1/8に圧縮し、登録作業要員コストを25%削減した。新商品の登録から販売までのリードタイムを2日に短縮している。ベースとなっているのが、流通業向けの経験とともに、セゾン情報システムズが提供する「HULFT」「DataSpider」といったデータ関連製品で、これらを活用し顧客側の課題解決を行っていく。

大手小売業の事例
百貨店の事例

 こうした実績や事例をベースに今後の流通ITサービス事業は、顧客側に常駐し顧客の顔、課題が見えていることを生かし、「恐らく、同じ課題を同業他社も抱えている」と見てビジネスを進める。小売現場での課題解決につなげていく提案や、ネット販売拡大に伴う課題解決につながる提案を進めていく。