ニュース

数秒のサンプル映像から類似行動の検出を可能に――、NECが「オンデマンド行動検出」技術を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は5日、行動のサンプルを数秒の映像として与えるだけで、ライブカメラの映像や映像アーカイブの中から、類似の行動を簡単に見つけ出す技術「オンデマンド行動検出」を開発したと発表した。これを活用すると、うずくまりや倒れこみなど、支援や介助が求められる行動/動作を、商業施設などに設置されたカメラの映像などから即座に検出し、速やかな対応を行えるようになるという。

 特定の行動を映像から自動で検出するには、通常、検出したい行動が映った映像を大量に集めてAIに学習させるなどの準備が必要とされる。一方で、こうしたAIの学習には時間がかかるため、探したい行動をすぐに登録して検出することは技術的に困難だったとのこと。また、ひとつの行動の中にもさまざまなバリエーションが存在しており、行動を定義してAIに学習させること自体が困難だった。

 これに対して今回開発した新技術では、対象となる行動が映っている数秒の映像をサンプルとして与えるだけで、類似行動の検出が可能になるため、見つけたい行動を事前に定義してAIに学習させる手間が不要になる。このように、サンプル映像を与えるだけですぐに類似行動を検出できるので、従来想定していなかった要支援行動を容易に追加して、検出可能な点が特徴。また、さまざまな動作に対応でき、要支援行動だけではなく、昨今のコロナ対策で関心が高まっている、アルコール消毒をする動作の把握にも応用可能としている。

 もう一つの特徴としては、被写体の向きにかかわらず類似の行動を見つけ出せ、ひとつの行動を検出するために複数のサンプル映像を与える必要がない点が挙げられる。

 例えばボールを投げる動作の場合、従来技術では、カメラを背にしてボールを投げる映像をサンプルとして与えるだけでは、同じ向きの類似行動しか検出できなかったが、新技術では、向きや大きさに依存しない特徴を取り出せるため、カメラに向かってボールを投げるなど、向きが異なる動作でも検出可能となった。これにより、人物とカメラの位置関係を固定化することが難しい場合でも目的の行動を検出でき、運用者の負担軽減につながるとした。

 加えて、画像そのもの(面)ではなく、画像から推定した骨格の形状(十数個の関節点)を基に行動を照合する仕組みにより、従来技術よりも計算量を抑えられる点もメリット。これにより、ライブカメラの映像から目的の行動をリアルタイムに検出したり、映像アーカイブから高速に検索したりすることが可能になったとのことだ。

 NECでは、今後、映像解析技術などを組み合わせた見守りソリューションや映像コンテンツ編集といった用途に向けて、新技術の実証実験を進めていく。