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アビームコンサルティング、データドリブンな健康経営を実現する「Digital Well-Being」を提供

 アビームコンサルティング株式会社は24日、社員データと企業データの組み合わせやデジタルテクノロジーの活用によるデータドリブンな変革を推進し、健康経営を実現するソリューション「Digital Well-Being」を開発し、提供を開始すると発表した。ソリューションの初めての実績として、2020年7月からSMN株式会社で実証実験を開始している。

 アビームコンサルティングでは、健康経営は経済産業省により「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義されており、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つとされていると説明。健康経営優良法人や健康経営銘柄の認定数は年々増加傾向にあるが、一方で健康経営は経営手法の一つにも関わらず、具体的な取り組み方法がわからない・効果が見えづらいといった点が取り組みの妨げになっていることや、実際の企業の取り組みは単発的な病気予防・健康増進施策の実施に留まっているといった課題があるとしている。

 ソリューションでは、こうした課題に着目し、社員データを収集、企業データと組み合わせて分析し、健康経営がもたらす経営上の効果や相関性を定量的に可視化する。加えて、社員の健康状態の把握から、業績や株価といった経営視点でメリットをもたらす施策の立案・実行支援まで、企業価値向上に貢献する健康経営の実現を支援する。

 専用Webアプリケーション「Business Athlete Conditioning Level(BACL)」を通じて、社員にアンケートを実施し、健康習慣(食事・運動・睡眠など)や仕事のパフォーマンス・モチベーションに関する社員データを収集する。アンケートは、早稲田大学リサーチイノベーションセンター 研究戦略部門教授 枝川義邦氏の監修のもと、脳科学に基づいて設計し、仕事中の脳のコンディションを問う設問の検討を進めている。

 回答した社員には、独自のアルゴリズムに基づいて数値化されたコンディションやパフォーマンスの評価に加え、仕事内容に応じた脳のパフォーマンスを向上させる時間帯や脳内物質を活性化させる生活リズムなど、脳科学の知見を活用したセルフコンディショニングのためのアドバイスが配信される。

 さらに、データアナリストが、社員データと企業データ(財務・業績・人事などの情報)を組み合わせ分析し、健康投資対効果や生産性指標などを可視化する。各データや分析結果は、健康経営プラットフォームの「Digital Cockpit」を通じて可視化する。

 結果をもとに各領域の専門コンサルタントが、取り組むべき健康経営課題の設定、組織/事業別健康経営KPIの設定、より効果的な健康施策立案、経営戦略や事業計画への反映、施策の実行支援、効果測定の一連を支援する。

 スマートフォンやデジタルデバイス、他社のヘルスケアアプリとの連携により、運動・食事・睡眠などが個別に記録できる。すでに各企業が利用しているデバイスやアプリと連携させることで、企業データを組み合わせた効果検証や施策検討が早期に実現可能となり、デバイスやアプリの活用の高度化を促進する。

 アビームコンサルティングでは、多様な業種業界のコンサルティングサービスの提供で得た企業の経営戦略の知見やデータ分析のノウハウを生かし、社員データを健康経営データとして活用することで、データドリブン経営の推進を支援すると説明。働き方改革で課題を抱える企業、経営戦略として健康経営に取り組む企業や、ESG経営に取り組む企業を対象に提案・提供していくとしている。

 提供金額は、企業のニーズや支援範囲により異なり、トライアル分析を対象とした場合で300万円程度から。アビームコンサルティングでは、初年度10件の提供を目指す。