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キヤノン、ディープラーニングを用いて群衆人数を算出する映像解析技術を開発

技術を活用した映像解析ソフト「People Counter Pro」を販売

 キヤノン株式会社は19日、ディープラーニング(深層学習)技術を用いて、ネットワークカメラで撮影した映像から、数千人規模の群衆人数をリアルタイムにカウントする映像解析技術を開発したと発表した。

 キヤノンでは、防犯や防災、人の混雑状況の把握、マーケティングなど、さまざまな用途において、ネットワークカメラで撮影した映像の活用が進んでいると説明。中でも、世界各地で開催される大規模なイベントなどにおいて、万全の警備や適切な誘導のために、混雑状況をリアルタイムに把握したいというニーズが高まっているという。

 一方、これまでの動体や人物の顔を検出する映像解析技術は、人が密集する混雑した状況では、体の重なりや顔の向きなどの影響を受けるため、群衆人数を正確に数えることが難しいという課題があった。キヤノンではこうした課題を解決するため、ディープラーニング技術を用いた映像解析技術を開発したとしている。

群衆人数のカウント例

 開発した映像解析技術は、ネットワークカメラで撮影した映像や、ビデオ管理ソフトウェアに保管した録画映像から人の頭部を検出することで、人が密集している状況でも、人数をカウントすることができるもの。指定した領域の中にいる人数の表示や、推移のグラフ表示ができるため、混雑状況の把握や分析に活用できる。

 対応できる画角が広いため、カメラの設置場所の自由度が高く、GPUを搭載していない一般的に使われるPCでも動作するため、設置・運用コストを抑制できる。

 これにより、都市や公共施設、スタジアムなどの監視においてデータを活用した警備計画の立案、警備員の効率的な配置に役立つほか、イベント会場や店舗での集客状況の把握、広告効果の検証など、さまざまな用途での導入が期待される。

 キヤノンでは、高画質・高精細なネットワークカメラの映像と映像解析技術を組み合わせた映像解析ソリューションを提案することで、安心・安全な社会づくりに貢献していくとしている。

 日本国内においては、今回開発した技術を活用した映像解析ソフトウェア「People Counter Pro」を、キヤノンマーケティングジャパン株式会社(キヤノンMJ)が12月下旬に発売する予定。製品の価格は個別見積もり。

「People Counter Pro」のグラフ化ツール画面