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SAP、デジタル変革を推進する施設「SAP Leonardo Experience Center Tokyo」を開設

 SAPジャパン株式会社は5日、デジタル変革やイノベーションを推進するための施設「SAP Leonardo Experience Center Tokyo」を開設したと発表した。同時に、グローバル研究開発組織となる「SAP Labs Japan」の設立も発表している。

 SAPでは、世界各国でSAP Leonardo Experience Centerを展開し、顧客企業のデジタル変革を支援している。SAP SE エグゼクティブボードメンバー 兼 最高業務執行責任者(COO)のクリスチャン・クライン(Christian Klein)氏は、SAP Leonardo Experience Center Tokyoでも「顧客に場所とツール、そしてデザインシンキングの手法を提供し、革新的なビジネスアイデアの醸成を支援する」と述べている。

SAP SE エグゼクティブボードメンバー 兼 COO クリスチャン・クライン氏

 SAP Leonardo Experience Center Tokyoは、デザインシンキングを行うための「ヒューマン・インタラクション・スペース」と、デジタル変革を実現した後の姿が体験できる「デジタル・インタラクション・スペース」を備える。デジタル・インタラクション・スペースには、変革後の様子が360度でバーチャル体験できる「Immersive Experienceルーム」が用意されており、デザインシンキングで生まれたアイデアの具体像がイメージできるようになっている。

SAP Leonardo Experience Centerについて
SAP Leonardo Experience Center Tokyoの一部
工場内で作業員の位置をトラッキングし危険を警告する仕組み
Immersive Experienceルームでデジタル変革後をバーチャル体験
壁いっぱいに広がるデモ画面

 一方、SAP Labsは、グローバルで展開する研究開発組織で、SAP Labs Japanは日本市場への開発機能を強化する拠点となる。

 SAP Labsでは、各地域の顧客ニーズをSAPのソリューションに反映させるほか、それぞれの市場の顧客やパートナー、大学、スタートアップ企業と連携し、地域のエコシステムを構築している。SAP Labs Japanは、SAPソリューションの日本市場向け機能拡張に加え、日本が強みとする分野の知見をSAPグローバルのソリューション開発に寄与する。また、SAPジャパン内でもイノベーションを起こす企業文化を醸成していくという。

 SAPアジア太平洋・日本地域イノベーション部門責任者で、SAP Labs Japanのマネージングディレクターに就任したシュネード・カイヤ(Sinead Kaiya)氏は、過去にNHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」の英訳に携わった経験から、「日本の文化や精神を学んだ」と話す。

 「日本には、逆境にあってもあきらめずにやり遂げようとするチーム力、そして強い決意がある。また、問題解決のために創意工夫し、努力を惜しまず困難を解決へと変える創造性がある。これこそ日本のイノベーションスピリットの原動力だ」とカイヤ氏。

SAP Labs Japan マネージングディレクター シュネード・カイヤ氏

 そのイノベーションスピリットをSAP Labs Japanでも生かしていきたいとカイヤ氏は語る。具体的に取り組むこととしては、「デジタルサプライチェーンや製造で培った日本の深い専門知識を駆使し、ブロックチェーンで食品のトレーサビリティをより正確化することや、機械学習やインテリジェントな資産管理で生産計画の最適化を実現する」としている。

 SAP Labs Japanは約40人体制でスタートし、2020年までにさらに40人の人材を増強する予定だ。

 SAPジャパン 代表取締役社長の福田譲氏は、「日本は世界3位の経済規模である一方、少子高齢化や生産年齢人口の減少、大都市への人口集中と地方都市の過疎化など、さまざまな課題を抱える『課題大国』と言われている。最新のデジタルテクノロジーでこうした課題に向き合い、コンテンツ化してフレームワークに落とし込むことができれば、日本はこれまでと違う形でリーダーシップが発揮でき、『課題解決先進国』になれるだろう」としている。

SAPジャパン 代表取締役社長 福田譲氏
SAP Leonardo Experience CenterとSAL Labsで、「課題大国」から「課題解決先進国」へ