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富士通とKongsberg Digital、AIを活用した船舶の燃料最適化サービスを提供

 富士通株式会社は5日、ノルウェーのKongsberg Digitalと、温室効果ガス排出低減に向けて、AIを活用した船舶燃料最適化(以下、VFO:Vessel Fuel Optimization)サービスを提供すると発表した。

 船主および運航事業者は、世界およびEU規制当局による新たな低硫黄燃料規制を順守するために、海運事業者にとって最大の運営コストである燃料コストの顕著な上昇に直面していると説明。海上輸送による温室効果ガスの排出量は膨大で、さらに増加を続けており、現行の世界の燃料備蓄を、2020年1月から硫黄含有量0.5%以下とする国際海事機関が要求する新条件を満たす燃料に置き換えた場合、市場予測によるとセクター全体で350億ドルのコスト増になると言われているという。

 VFOサービスは、AIが船長による操船および船舶性能を学習し、これに風、波、海流といった気象および海象予報と組み合わせて、エネルギー効率や安全および収益性を最大化する最適航路を提案する。船長や陸上管理者が、計画時および航海中に更新された最適航路に従うことで、燃料節約に貢献し、新たな低硫黄燃料規制を順守して温室効果ガス排出を減らすことを可能にする。

 サービスは、富士通研究所が最先端のAIおよびデータ分析技術に基づき開発した、自動船舶識別装置(Automatic Identification System)のオープンデータを活用した、航路最適化ウェブアプリのプロトタイプ。センサーや船上機器を設置する必要がないため、幅広い船舶に対して利用可能なウェブアプリを提供でき、船舶のエンジンログおよびセンサーデータといった、航海データ記録装置からのデータを活用したサービスも提供する予定としている。

 富士通とKongsberg Digitalでは、サービス提供に向けて協業を開始しており、VFOサービスはこの提携に基づいて提供される最初のサービスとなる。

 Kongsberg Digitalは、海運、石油・ガス、再生可能エネルギー・電力セクター向けITサービスのプロバイダーであり、サービスはKongsberg Digitalが保有するプラットフォームであるKognifaiのポートフォリオの一部として提供する予定。これにより、海運業界に対し、費用対効果の高いさまざまなサービスの提供が期待されるとしている。

 富士通とKongsberg Digitalでは、地球温暖化防止やコスト効率性の高い業務サービスの開発および提供により、環境保全に貢献していくと説明。この取り組みにより、最先端のAIおよびデータ分析技術における富士通の強みと、海運業界におけるKongsberg Digitalの幅広い専門知識と経験を活用して、費用対効果の高いサービスを提供するとしている。