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NEC、デンマーク最大手のIT企業を傘下におくKMD Holdingを約1360億円で買収

 日本電気株式会社(以下、NEC)は27日、デンマーク最大手のIT企業であるKMDの持株会社であるKMD Holdingの全株式を取得することについて決議し、同社の株式を保有するAdvent International Corporationが運営するファンドと株式売買契約を締結したと発表した。

 取得価額は80億デンマーククローネ(約1360億円)で、買収の完了時期は2019年2月末の予定。また、買収は欧州委員会の承認など、必要な手続きの終了後に完了する予定。

 NECでは、2020年度までの3カ年の中期経営計画「2020 中期経営計画」において、セーフティ事業をグローバルでの成長エンジンに位置付け、水平展開可能なプラットフォームを活用したビジネスモデルへの転換を進めていると説明。また、安全・安心で効率・公平な都市の実現を支える「NEC Safer Cities」のもと、NECが有する生体認証技術やAI(人工知能)技術を活かし、パブリックセーフティからデジタルガバメント、スマートトランスポーテーションへと事業領域を拡大しているとしている。

 KMDは、デンマークを中心にソフトウェア、ITサービスなどを主にリカーリング型(継続的に収益を生み出すビジネスモデル)で提供している。特に、中央・地方政府向けの強固な顧客基盤と幅広い種類のソフトウェアを有しており、国連の経済社会局が発表した2018年の「世界電子政府ランキング」で首位となったデンマークのデジタル化を支えており、さらにM&Aも積極的に活用し、さまざまな業種への事業展開を進めているという。

 欧州では、行政サービスの向上・コスト削減に向け、EU加盟各国の合意の下で統一的なデジタルガバメント施策が各国で進行しており、先行するデンマークや英国がロールモデルとなっていると説明。NECでは今回の買収により、デジタルガバメント領域におけるプラットフォームを活用したビジネスモデルを獲得し、北欧から欧州全域、世界への展開を目指すとしている。

 また、今後はNECの生体認証「Bio-IDiom」やAI技術群「NEC the WISE」と、KMDのソフトウェアを組み合わせることで、新たな顧客価値を提供するソリューションの創出を図ると説明。さらに、NECが2018年1月に買収した英Northgate Public ServicesとKMDのソフトウェアの相互販売や、NECグループの販路を活用したKMDのソフトウェアのグローバル展開を推進する。

 NECでは今後も、自社でのコア技術やソリューションの開発を推進するとともに、M&Aや協業を通じて新たな顧客基盤、デリバリリソース、コア技術、ビジネスモデルを獲得することで、セーフティ事業を中心に社会ソリューション事業の一層の拡大および収益性向上を目指すとしている。