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国内IoT市場の企業ユーザー動向調査、IoT利用企業の割合は6.4%~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は5日、国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。調査は、全国の従業員規模100名以上の企業を対象に、「IoT利用企業動向調査」と「IoT担当者深堀調査」の2つの定量調査(ウェブアンケート)を実施した。調査期間は2018年8月~9月。

 「IoT利用企業動向調査」は、企業のIoT利用率や具体的なユースケースなど市場の概況を把握することを目的としたもの。回答があった3320社のうち、IDCが定義するIoTの利用企業(以下、IoT利用企業)は211社で、利用率は6.4%となった。IoT利用企業の割合は継続的に増加しており、前年比で0.4ポイント、2015年比で1.5ポイント増加した。

 産業セクター別では、「製造/資源セクター」のIoT利用率が、組立製造業とプロセス製造業が牽引することで、全体平均を上回った。その他のセクターでは、「流通/サービスセクター」では運輸、「公共/インフラセクター」では公共/公益、「金融セクター」では銀行のIoT利用率が目立っているという。

 また、IoT利用企業の多くは、社内業務プロセスの合理化/コスト削減を目的とした「社内用途」のIoTを利用している一方、IoTを顧客向けの製品/サービスの付加価値創出や新たなビジネスに役立てる「DX用途」を推進する企業も全回答の19.9%(42回答)を占めるとしている。

 「IoT担当者深堀調査」では、企業の中で自身の業務の1割以上をIoTに充てる「IoT担当者」を対象に調査を行っている。回答があった1万7168人のうち、1051人(6.1%)がIoT担当者に該当する結果となり、前年に実施した推計よりも0.4ポイント増加。また、業務の5割以上を充てる「IoT担当者(主)」も1.7%存在するという。

 調査では、自身の業務の1割以上をIoTに充てる社員を「IoT担当者」と総称しており、IoT担当者のうち自身の業務の5割以上をIoTに充てる社員を「IoT担当者(主)」、それ以外を「IoT担当者(準)」としている。

 こうしたアンケート調査を基準とすると、国内のIoT担当者の総数は約174万8000人、IoT担当者のうち自身の業務の5割以上をIoTに充てる「IoT担当者(主)」の総数も46万8000人に達すると推計。加えて、IoT担当者が所属する企業では、IoT活用の専門組織が存在するケースが3分の2を占めるとしている。

 新規事業の創出や全社的なデジタル変革といった、より広範なDXの一環としてIoT活用を進める企業が多く見られているが、IoTを推進する企業の課題としては「IoT活用を主導する人材の不足」が最多で、次いで「組織間連携の不足」が多く、「予算準備が不十分」や「収益性が見通せない」といった課題も目立つとしている。

 IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「所属企業のIoTに対する取り組み度合いに関わらず、IoT担当者は人材不足を懸念する傾向が強い。ただし、取り組みフェーズが進むにつれ、人材以外の課題はめまぐるしく変化していく。ベンダーはそうした課題の移り変わりを敏感に察知し、企業に対するアプローチ方法を最適化していく必要がある」と述べている。