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国内IT市場における事業/業務部門の支出割合は全体の約4割――、IDC Japan調査・予測

 IDC Japan株式会社は7日、国内IT支出について、支出元がIT部門であるか、事業/業務部門であるか、という観点で調査を行い、その結果を発表した。

 それによると、2018年の国内IT市場における事業/業務部門(Line of Business:LOB 以下、LOB部門)の支出(Business Funded)は、全体の39.9%にあたる4兆8793億円。一方、IT部門による支出(IT Funded)が全体の60.1%、7兆3463億円と予測された。2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR)はBusiness Fundedが4.0%、IT Fundedが1.5%となり、LOB部門の支出の方が高い成長率になると予測されている。

 また、LOB部門により積極的なIT投資が行われる産業分野としては、銀行、保険、組立製造、プロセス製造、運輸、公共/公益、建設/土木分野を挙げる。

 銀行や保険といった分野では、業務効率化を目的にRPA(Robotic Process Automation)の本格的な活用が開始されていることや、FinTechサービスの本格展開が見られることがその理由。電力およびガスの小売り自由化を受け、顧客向けサービスの拡充にITを活用する動きも見られるとした。

 加えて、製造、建設/土木分野における研究開発部門のほか、生産部門や建設/土木部門など特定の産業に特化した部門で、IoT、コグニティブ/AIシステム、ドローンを含めたロボティクスをはじめとする“第3のプラットフォーム”の活用が、LOB部門主導、あるいはIT部門もかかわる協働プロジェクトとして進められるとのこと。
と分析している。

 このほかの傾向としては、企業規模が大きくなるにつれ、LOB支出の成長率が徐々に高まっており、大企業でのCAGRは5.1%と、高い成長率が予測されている。IDC Japanではその要因として、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが大企業を中心に進められていることも背景にある、と指摘した。

 なお、DX推進に関するユーザー調査では、自社のデジタル戦略やDXを推進するのは自身の所属部署である、との回答がもっとも多かったのはIT部門となっており、IDC Japanは、ITを活用した変革への意識が高いことがうかがえるとも指摘している。