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日本オラクル、「Oracle Cloud」のデータセンターを国内に新設

SMB向けの営業拠点「Oracle Digital Hub Tokyo」も開設へ

 日本オラクル株式会社は14日、国内におけるクラウドへの高まる需要に応えるため、「Oracle Cloud」のデータセンターを新設する計画を発表した。同日に行われた記者説明会では、日本オラクル 取締役 執行役 CEO(最高経営責任者)のフランク・オーバーマイヤー氏が、国内データセンターの新設を含めた今後のクラウド事業戦略について説明した。

日本オラクル 取締役 執行役 CEOのフランク・オーバーマイヤー氏

 オーバーマイヤー氏は、日本市場のクラウド戦略の方向性について、「データ、イノベーション、専門性、知識の4つのポイントにフォーカスし、日本市場においてデータドリブンのイネーブラーとなることを目指す。そして、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションやイノベーションに向けたツールボックスをクラウドサービスから提供し、イノベーションのパートナーとなっていく」との考えを示した。

日本市場でのクラウド戦略の方向性

 今回、この施策の一環として、国内に「Oracle Cloud」のデータセンターを新設する。オーバーマイヤー氏は、「2月12日に米ニューヨークで開催された『Oracle CloudWorld New York 2018』において、グローバル規模で新たに12か所のデータセンターを開設することが発表されたが、この中に日本も含まれている。新設するデータセンターは、Data as a Service(DaaS)からSoftware as a Service(SaaS)、Platform as a Service(PaaS)、Infrastructure as a Service(IaaS)まで、フルスイートのクラウドサービスを提供する、次世代データセンターとなる予定だ」と説明した。

 国内データセンターを開設することでの顧客に対するメリットは、「国内のデータセンターから直接『Oracle Cloud』のサービスを利用したいというニーズに応えることができる。特に、最新テクノロジーを活用した高付加価値のクラウドサービスを、国内データセンターから提供可能となる。さらに、Oracle Databaseに最適化しているため、他社データセンターを利用している顧客は、運用コストの大幅削減にも期待できる」としている。

 データセンターの開設時期については、「まだ明確には決まっていないが、できるだけ早い時期に開設したい」とした。

 また同社では、国内データセンターの新設に加えて、中堅・中小企業(SMB)、クラウドネイティブなスタートアップ企業向けの営業拠点として「Oracle Digital Hub Tokyo」を国内に開設することも発表した。

 オーバーマイヤー氏は、「当社はクラウドのテクノロジーだけでなく、社員の専門性と知見を向上するクラウドカルチャーにも継続して投資していく。具体的には、営業担当者を200名増員するとともに、SMB市場にフォーカスした営業拠点『Oracle Digital Hub Tokyo』を新設する。国内のSMB市場には、クラウドサービスの大きな可能性があると確信している」と、その狙いを語った。

 「Oracle Digital Hub Tokyo」は、今年中期に、日本オラクルの東京都港区北青山の本社内に開設する予定。マーケティング・オートメーションを導入したデジタルマーケティング、SNSなどを使ったソーシャル・セリング、ウェブ・カンファレンスによる顧客へのライブデモなど、新世代の営業スタイルを推進していくという。

 なお、米国ニューヨークで開催された「Oracle CloudWorld New York 2018」では、自律型クラウドサービス「Oracle Cloud Platform Autonomous Services」を「Oracle Autonomous Database」以外にも拡張し、すべての「Oracle Cloud Platform」サービスで自動稼働、自動保護、自動修復を可能にすることも発表された。これにより、AIと機械学習を次世代のクラウドプラットフォームサービス全体に適用し、顧客のコスト削減、リスク軽減、イノベーション促進、予測インサイト獲得を支援していく考え。

 データ分析用の「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud Service」、トランザクションおよび混合ワークロード用の「Oracle Autonomous Database OLTP」、高速かつ大規模トランザクション用の「Oracle Autonomous NoSQL Database」など、複数の自律型データベースサービスは、2018年内の提供を予定している。

 さらに、「Oracle Autonomous Database」に加え、データ管理、アプリケーション開発、モバイルおよびボット、統合、アナリティクス、セキュリティ、システム管理用の「Oracle Cloud Platform」の自律機能の提供は、2018年度後半を予定している。