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成蹊大学とNTT Com、IoTの活用で学習時の快適な温湿度や照度・CO2濃度などを導き出す「空間の価値」最大化の実証検証を開始

 成蹊大学とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は13日、2017年4月に開始したIoT技術を用いた環境モニタリング実証実験において、大学講義室内や図書館内に設置した「EnOcean」センサーから、適正な環境データ(温湿度)を取得することに成功したと発表した。

 これを受け、温湿度に加えて照度・CO2濃度データなどを収集し、学生や教職員からの体感評価と組み合わせることで、学生の快適な学習環境を実現するための「空間の価値」の最大化に向けた実証実験を2月19日から実施する。

実証実験の構成図

 成蹊大学とNTT Comでは、実証実験を行う背景として、建物内などの閉ざされた空間では、そこで活動する人の動きや人口密度、天候・時間による光の差し込み具合などのさまざまな環境要因が、業務や学習の効率に影響を与えており、「空間の価値」の最大化には、環境要因の変化に迅速に対応することが重要だと説明。

 そこで、学習効率が最もよい環境を「空間の価値」が最大化された状態と定義し、EnOceanセンサーから収集した大学内の各種データを分析することで、学習時の快適な温湿度・照度・CO2濃度などを導き出す実証実験を行う。

 実証実験では、成蹊大学の大学講義棟や図書館などの居室内に設置したEnOceanセンサー約30個から、温湿度・照度・CO2濃度などのデータを収集し、NTT ComのIoT向けクラウドサービス「Things Cloud」上に蓄積する。

 蓄積されたデータをもとに、空気の流れを把握・分析する流体力学を専門としている成蹊大学の小川教授研究室が、学生や教職員に快適な空間となる温湿度・気流を分析し、NTT Comが照度やCO2濃度などのデータ分析を担当する。その後、学生や教職員から得た体感評価と組み合わせることで、最適な学習環境を実現する条件を特定し、「空間の価値」の最大化を図る。

 今後、成蹊大学では、学習環境の最適化を目的とした大学講義棟や図書館における「空間の価値」最大化に続き、学生や教職員が大学構内全体で快適な生活を送れるように、温湿度・照度・CO2濃度などの各種空間データの最適値を定めた「環境空間ガイドライン」の策定を目指す。NTT Comは、既存の建物にEnOceanセンサーを設置するノウハウや、データ取得・分析ノウハウの高度化を図り、電池レス・配線レスの国際標準無線通信規格であるEnOceanの活用促進と、IoTのトータルソリューション強化に努める。