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日本カードネットワーク、日立のソリューションを採用し、AIによるクレジット決済ネットワーク監視を試行開始

 株式会社日本カードネットワークは30日、クレジット決済ネットワークシステム「CARDNET」において、CARDNETのシステムインテグレーションを担当するTIS株式会社の協力のもと、株式会社日立製作所(以下、日立)の「システム稼働リスク可視化ソリューション」を採用した、AIによるネットワーク監視の試行を12月1日から開始すると発表した。

 CARDNETは、JCBグループの日本カードネットワークが運営する、クレジットカード会社と加盟店を結ぶクレジット決済ネットワーク。接続するクレジットカードの決済端末は全国で約68万台、クレジット決済関連の年間処理件数は過去10年間で約4倍の約126億件に増大しており、日本カードネットワークでは、決済方法の多様化などに対応するとともに、安全なクレジット決済ネットワークシステムの提供に向けた取り組みを進めている。

 日本カードネットワークでは、AIの機械学習技術を活用してクレジット決済データの流れを分析・監視することで、システム障害リスクをあらかじめ把握し、障害発生の未然防止を図る。

 今回採用するシステム稼働リスク可視化ソリューションは、AIの機械学習技術を活用してネットワーク上のデータの流れを分析。従来、システム運用管理者では見つけることが困難だったシステムの速度の低下や機器のサイレント障害など、潜在的なリスクを早期に検知する。

 機械学習技術により、通常時のシステムのデータの流れを学習し、稼働しているシステムのデータの流れと比較分析することで、通常とは異なるデータの流れを監視する。ネットワーク機器に起因するシステム障害リスクもあらかじめ把握できるため、障害発生の未然防止が図れる。さらに、障害が発生した場合にも、ネットワークデータや周辺機器などの情報を自動的に分析、検知したリスクの要因を推定し可視化するため、障害が発生した箇所や要因を絞り込めるほか、障害箇所から影響を受ける接続先を容易に把握でき、復旧までにかかる時間を最小限にすることが可能となる。

 日本カードネットワークでは今回の取り組みにより、クレジット決済ネットワークシステムの安定稼働と決済サービスの品質向上を目指し、将来的には障害が発生した場合の復旧手順を事前に登録し、自動実行する仕組みを検討するなど、復旧作業の効率化にも取り組むとしている。

 TISでは、今後も日本カードネットワークのクレジット決済ネットワークシステムの安定稼働をサポートするとともに、ビジネスパートナーとしてさらなるサービスの拡充・品質向上に向けた総合的な支援を続ける。日立では、今回のソリューションをはじめ、多様化する金融機関のニーズに柔軟に対応したシステムソリューションを総合的に提供し、金融機関におけるサービス品質の向上や業務の効率化などを支援していくとしている。