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日立システムズ、浄水場における設備機器の稼働監視や保全業務を効率化する遠隔監視システムを開発

 株式会社日立システムズと株式会社日立プラントサービスは28日、浄水場で利用する電動機や減速機など回転機器の稼働監視や保全業務を効率化する遠隔監視システムを開発したと発表した。

 浄水場では、取水ポンプや配水ポンプなどの主要な設備機器に対しては、中央監視システムにより稼働状況を常に管理し、計画修繕を実施しているが、小型・中型の設備機器(攪拌機、ポンプ、フロキュレーターなど)については、技術者による目視点検と定期点検で稼働状況を管理しているため、安全性を保ちつつも、人手をかけずに低コストで保全を行う仕組みが求められているという。

 こうした課題に対し、ネットワークやクラウド、IoT技術を保有する日立システムズと、浄水場の設備保守に関するOT(Operational Technology)、ノウハウを保有し、包括維持管理サービスを提供している日立プラントサービスでは、浄水場内の設備機器の稼働状況を遠隔監視できるシステムを共同で開発し、日立プラントサービスが包括維持管理業務を受託している浄水場内の設備で、約1年間の実証実験を行った。

実証実験の全体構成図

 実験では、撹拌機などの中に含まれている電動機の高速回転部付近と減速機の低速回転部付近に、後付けや取り外しが可能で配線も不要な無線型センサーを設置し、センサーから取得した機器の振動と温度に関するデータを、IoTゲートウェイ経由で株式会社日立製作所のクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」へ蓄積した。

 1年にわたり「Doctor Cloud」に蓄積した設備機器の振動や温度に関する時系列データをグラフ化し、従来の点検業務で行ったハンディー計測計による測定結果と比較分析した結果、振動データに相関的な傾向を確認できたことから、無線型センサーを用いた遠隔監視システムについて実現性の見通しが得られたと説明。システムを活用することで、人手による巡回目視点検を自動化して点検業務を効率化できるほか、設備の稼働状況を確認しながら設備延命化や最適な修繕時期を見極めることなどが可能になり、保全業務に関わるコストの低減に貢献できると見込まれるとしている。

 今後も、日立プラントサービスが包括維持管理業務を受託している浄水場において、将来の実運用を見据えた実証実験を継続的に実施していく予定としている。

 日立システムズでは、今後も浄水場内の設備をはじめ、他業種の設備機器に対する遠隔監視の実証実験を推進し、さまざまな設備機器の監視・保守を効率化するシステムの実現を検討していくとともに、日立プラントサービスをはじめとした企業のOTと日立システムズのITを融合し、デジタライゼーション事業を推進していくとしている。