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光ファイバーで周波数利用効率947bit/s/Hz、KDDI総合研究所が従来記録を2倍に更新する伝送実験に成功

 株式会社KDDI総合研究所は14日、光ファイバー通信の伝送容量を拡大するために必要となる周波数利用効率を著しく向上する技術を開発し、周波数利用効率947bit/s/Hzという、これまでの記録を2倍に更新する伝送実験に成功したと発表した。

 KDDI研究所では、周波数帯域は通信システムにおける大切な資源であり、この帯域を効率的に利用することが大容量の情報を伝送するための重要課題だと説明。現在の商用光通信システムの周波数利用効率は2bit/s/Hz以下であり、15bit/s/Hz(最大値)に達するLTEと比較すると、効率性が低くなっているという。

 これまで、KDDI総合研究所ではマルチコア/マルチモードファイバーを用いることで、周波数利用効率を456bit/s/Hzまで向上できることを示してきた。今回の伝送実験では、6モード伝送において64値直交振幅変調(64QAM)信号伝送を行うことにより、周波数利用効率の大幅な改善を実現した。

 64QAM信号伝送では、64通りの光信号の振幅と位相の組み合わせの状態(信号状態)を用いてデータ伝送を行うことで、従来の最高周波数利用効率伝送実験で用いていた4相位相変調方式(QPSK)と比較して、原理的に3倍の周波数利用効率の向上が見込める。一方、信号状態を4通り(QPSK)から64通り(64QAM)に増加することで、雑音の影響を受けやすくなり、良好な伝送特性を得ることが難しくなるため、6モード以上を用いたマルチモードファイバー伝送では、変調方式はQPSKに制限されていた。

 今回の伝送実験では、モード依存損失等化技術と新規に開発した6モード光増幅器を組み合わせることで、6モードファイバーでの64QAM伝送を可能とし、周波数利用効率を947bit/s/Hzまで向上させた。

 KDDI総合研究所では、この技術は、より低遅延で高速な5G以降のモバイル通信システムを支え、“新しい体験・サービス”を提供するキー技術として期待できると説明。今回の成果により、効率的な大容量光通信システムの実現が近付いたとして、今後は今回の方式を用いた大容量化や長距離化に加え、その実用性の向上を目指した研究開発を継続していくとしている。