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AppleとIBMのモバイルアプリ登場 ビッグ連合始動

影響はどう出る?

 一方、AppleとIBMの提携は業界にどんなインパクトを与えるのだろう。

 まずはIBMとApple。とりわけIBMは業績低迷が続く中でのリリースとなる。Nasdaq.comは「提携がIBMの低迷を変えることができるか?」と問う。そしてIBMが100年余りの歴史で何度も再起してきたことに触れ、「CEOのGinni Rometty氏は自分なりの“Garstner(90年代後半にIBMを改革したLouis Garstner氏)の瞬間”を作ることができる。Appleの成功からわかるように、IBMは今回正しいパートナーを選んだ」と評価している。

 好調に見えるApple側にも課題はある。iPadの売れ行きが3四半期連続で減少しているのだ。Seeking Alphaによると、iPadのシェアは1年前の29%から、23%に落ちているという。また今後、市場が成熟に向かい価格競争が激化し、さらに5.5インチと大きな画面を持つ「iPhone 6 Plus」がiPadと自社競合になりかねないという懸念がある。

 だが、エンタープライズで定評のあるIBMと業務モバイルアプリで組むことによってiPadの販売が上向く可能性がある、とSeeking Alphaは予想する。現在、米国の法人市場でのiPadのシェアは73%、世界市場では39%という。

 こうした期待の一方で懸念もある。Lopez氏はIBM MobileFirst for iOSの出来を評価しながらも、企業側の受け入れ準備ができていないのではないかと述べている。

 「企業は機能が足りないかどうかに目が向いており、(IBM MobileFirst for iOSのアプリは)自社のプロセスや自分たちの業界の課題の複雑さを反映してないと思うのではないか」とLopez氏は述べ、アプリの「モバイルファースト」に合わせて、企業側もフル機能ありきのアプリケーションに対する評価点を変えるべきだと提言している。「シンプルさこそモバイル業界とモバイルアプリを変えたのだ。同じ進化が業務アプリでも起こるべきだ」と言う。

 AppleとIBMの提携の業界への影響はどうだろう。The Streetは、モバイルエンタープライズを独占してきたBlackBerry、SAPとの提携などを通じてエンタープライズ分野に拡大を図るSamsungなどが打撃を受けるのではないかと予想している。

 Forbesのコラムは、80年代に対立関係にあったAppleとIBMの歴史を振り返りながら、企業戦略の面から考察している。共にMicrosoft・Intel連合に追いやられた後、Appleはデザインやインターフェイスを得意とする方向に、IBMはエンタープライズの方向に進んだ。

 そして今回の提携だ。Forbesは「競争において重要なものは戦略ではなくなった」とする。「企業が繁栄するには、才能、情報、パートナー、コンシューマーとの結びつきを広げ、そして深める必要がある。その意味からみて、AppleとIBMの提携は勇敢な判断であり、今後数年にわたって好影響を与えることだろう」としている。

岡田陽子=Infostand