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Dropbox、Box、Amazon、法人向けクラウドストレージサービス

「Dropboxは“プライバシーの敵”」Snowden氏

 Dropboxにはクラウドの浸透という追い風があるが、課題も多い。他社との競合はもちろん、Dropbox自身の課題も抱えている状態だ。

 Dropbox自身のものとしては、コンシューマーから人気に火がついたDropboxが、ビジネスでの利用を支えられるかという課題がある。さらに、このところクローズアップされているのがプライバシー問題だ。

 昨年、米国家安全保障局(NSA)による監視プログラム「PRISM」の存在が暴露されて以降、インターネット(クラウド)サービスへのプライバシー懸念が強まっている。ファイルをクラウドに預けるDropboxは企業としてPRISMには参加していないが、ユーザーのクラウドサービスへのプライバシー懸念は高まっている。

 そこでDropboxに逆風となっているのが、春に発表した、Bush政権時の国務長官Condoleezza Rice氏の取締役就任だ。Rice氏は現在はスタンフォード大教授などを務めるが、PRISMなどの監視活動に肯定的なことで知られており、Rice氏の就任を機に、Dropboxボイコット運動まで起こった。

 そして7月17日、そのPRISMリークの張本人であるEdward Snowden氏が英紙The Guardianに対し、「Dropboxはプライバシーの敵」と発言した。同紙によると、Snowden氏はDropboxがPRISMに加わることになっていたとした上で、「考えうる限り最もアンチプライバシーな政治家」であるRice氏の取締役就任は、Dropboxがプライバシーを尊重していないことの象徴であると断言した。

 Snowden氏はその対極として、ユーザー自身しかデータの中身を見ることができず「ユーザーについての知識を全く保持しない」のSpiderorkを例にとり、「クラウド企業は“zero knowledge”(知識ゼロ)のシステムを追求すべきだ」と語った。

 これに対し、Dropboxの幹部は「最高レベルの暗号化を利用している」としている。サーバー上のデータはすべて暗号化されており、2ファクタ認証を含め強固な認証技術を提供していると強調。Rice氏についてはHewlett-Packard(HP)などの取締役会を務めていることに触れつつ「『ダイバーシティ』(多様な人材の積極的活用)に欠けた業界にとってすばらしいロールモデルになるだろう」とコメントしている。

 The InquirerはDropboxの英国オフィスのオープンを報じた記事中、法人向け製品担当マネージャーの言葉として、電子フロンティア財団(EFF)から高い評価を得たこと、透明性レポートを公開していることなどを紹介している。

(岡田陽子=Infostand)