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DigitalOceanがIPO “代替クラウド”の武器は「シンプルで安価」

大手クラウドとの差別化

 3月24日、DigitalOceanはテック業界注視の中でニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。公募価格は仮条件の上値の47ドル。しかし、初日の終値は42.5ドルと10%下回り、評価額は44億8000万ドルとなった。だからといって、同社は失望してはいない。

 DigitalOceanのCEO、Yancey Spruill氏は「(クラウドは)規模という点で、素晴らしい市場だ。われわれにとって成長の潜在性が大いにある」と楽観的な見通しをBusiness Insiderに語っている。

 投資家も同じように考えているようだ。ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzは、2014年に初めてDigitalOceanのチームに会い、シリーズB投資ラウンドへの参加を決断したという。

 そのGP(ゼネラル・パートナー)Peter Levine氏はIPOに寄せて、「DigitalOceanは、コードを高速に書いて迅速に実装してスケールするのに必要なIaaSを提供している」と説明。他のクラウドが大企業にフォーカスしたサービスを提供するのに対し、DigitalOceanは開発者やビルダーのニーズを理解している、と絶賛する。

 またCNBCはシンプルさに注目。「ソフトウェア開発者が適用できる幅広い技術を拡充し続ける」AWSとは対照的に、「機械学習サービス、実装ツール、データベースマイグレーション技術などはなく、わずかな製品ラインアップ」であることがDigitalOceanの良さであり、価格もシンプルだと評価する。

 実際、DigitalOceanもIPO申請書(Form S-1、目論見書にあたる)では、「大手パブリッククラウド事業者は直感的ではないため、小規模企業や開発者は、ほとんど終わりのない機能の複雑性に苦しみ、価格と請求が不明確である」と指摘している。