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クラウドはさらに拡大 2021年調査会社予想

降りかかる「ITレガシー」

 IDCはIT業界の予測10件を挙げているが、クラウドについては「2021年までにクラウド中心のインフラとアプリケーションへのシフトが、コロナ前と比べると倍速で進む」と予想している。

 そのほかの予想項目は、「エッジ」「ITオペレーションの自動化」「デジタルワークフォースのインテリジェント化」などを挙げている。実際、新型コロナで技術やデジタル化の重要性を身をもって体感した現在、IT支出に対して財布のひもは以前よりも緩んでいるようだ。Wall Street JournalのCIO JournalがCIOを対照の行った取材では、IT投資に前向きなCIOのコメントが寄せられている。

 Bank of AmericaのCOO兼CTO、Cathy Bessant氏は、2021年は新しい技術イニシアティブに34億ドルの予算を確保したと述べている。技術全体では100億ドルを投じる計画だという。「このような時代には、技術投資にフォーカスすることが大事だと感じている」(Bessant氏)という。

 American AirlinesのCIO、Maya Leibman氏は「以前なら(予算獲得は)難しかったが、現在は少し前向きになって、技術分野で将来に向けた計画がなければ、取り残されることが理解できる」とコメントしている。

 クラウドには強い追い風が吹いているのだが、一方でIDCは「パンデミックのITレガシー」問題も予測している。

 これは、新型コロナを受けて、否応なく急激にクラウド移行を進めたことが、企業ITの一種のレガシーとなって、CIOらに財務面でのストレスを与える可能性があるというもので、3年程度、後を引くことになるだろうと指摘している。

 こうした中で賢明なCIOは、次世代のインフラやアプリケーションのための持続可能な力の構築を模索しているという。新しい製品やサービスをつくって送り出すため、柔軟な対応ができるかが成功のカギになるということだ。