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国防総省のJEDIクラウド契約にゴーサイン Oracleは敗訴

議員から次々に反対の声

 Oracle訴訟の結果にペンタゴンの関係者はほっとしたが、まだ懸念は残っている。ここ数週間、議会から契約を先延ばし、あるいは最初からやり直すよう求める動きが続いていた。

 Trump氏と共和党の大統領候補を争った上院の有力議員、Marco Rubio氏は11日、John Bolton大統領補佐官(国家安全保障問題担当)あてに書簡を送り、入札決定を延期して、単一ベンダー方式を見直すよう求めた。

 書簡では「コスト、能力、セキュリティを絶えず改善するイノベーションは、競争によってのみ確実になる」と主張。「JEDIには当初、200もの企業が関心を持ったにもかかわらず、DoDは制限的な基準を設けて、わずか4社のベンダーしか残れなかった。さらに2社に選別するような基準を使った」と調達プロセスを非難している。

 大統領に働きかける動きもあった。下院収用委員会委員のSteve Womack議員が大統領あての書簡で「JEDIプログラムは、最新かつ安全でない技術で、数億ドルを無駄にする可能性がある」と述べ、この問題にTrump大統領が“個人的関心”を向けるよう求めた。Trump氏は自身に批判的なWashington Postの社主でもあるJeff Bezos氏嫌いで知られ、こうした部分に訴えてAmazonは不適格との大統領裁定を求めたものとみられている。

 ほかにも上院国土安全保障・政府問題委員会委員長のRon Johnson議員や、Chuck Grassley上院議員らが、それぞれ政府高官やメディアに、契約プロセスの停止や、やり直しを求めて働きかけている。こうした動きは訴訟終了で沈静化するかもしれないが、「競争とチャンス」を最も尊重する米国ビジネスでは、強く支持される考え方だ。

 JEDIが採用した、単一ベンダー方式は、商用エンタープライズクラウドを採用して迅速に態勢を整えるのが目的だったが、Breaking Defenseは「皮肉なことに、JEDIをスピードアップさせようするペンタゴンの努力が、逆に遅れを招いたのかもしれない」と論評している。