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米国はAIのリーダーでいられるのか Trump氏の大統領令

ビザでAI人材に優遇を

 アレン人工知能研究所CEOで著名なAI研究者のOren Etzioni氏はwired.comへの寄稿で、今の政策は「国外の有能なソフトウェアエンジニアが米国の労働市場に参入する機会を減じている」と述べ、「AIの専門家や学生のために特別なビザを導入すべきだ」と主張している。

 同氏が代表を務めるアレン人工知能研究所の研究者の3分の2近くが移民出身で、出身地は、エジプト、ドイツ、インド、イラン、イスラエル、日本、韓国、ノルウェー、英国などさまざまだという。

 Etzioni氏は、こうした移民のAI専門家、科学者、プログラマーたちが、米国の国防を改善し、経済成長の恩恵をもたらし、医療技術やヘルスケアシステムを刷新して命を救っている、と説明。こうした人たちこそが、米国がAI競争と、大統領令の達成を支えるとする。

 Kai-Fu-Lee氏も移民政策の変更がAIの強化に資すると考えており、「私は、AI分野の博士号保持者に対しては自動的に永住権が与えられるべきだと考えている」と述べている。

 少しだけ明るい動きもあった。米政府は1月末、H1Bビザの申請手順を一部変更した。TechCrunchの試算では、これによって、修士以上の学位取得者がビザを取得できる確率が数パーセント高くなるという。わずかながら改善になりそうだ。

 ハーバード大教授で、Obama政権で大統領経済諮問委員会委員長を務めたJason Furman氏は、American AI Initiativeついて「正しい要素が全て含まれている」とMIT Technology Reviewに評価を語っている。

 だが「これらがきちんと実行されるかを見ていかねばならない」「計画は野心的だが詳細を伴っておらず、それだけで実行されるものでもない」とも述べている。