クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

HPE Virtualized NonStop(高可用サーバーソフトウェア)

ハイブリッドクラウドにも「無停止」を提供

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2017年夏号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2017年6月30日
定価:本体2000円+税

独自のプロセスペア技術によりソフトウェア処理を冗長化して無停止を実現

 今や業種を問わずシステムとその上で稼働するサービスには24時間・365日停止することなく安定稼働することが求められている。

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)が提供するフォールトトレラントサーバー「HPE Integrity NonStop」は、ミッションクリティカル業務向けの無停止型システムである。“止まらない”をコンセプトに、30年以上にわたりコンバージドシステムとして提供されてきた伝統のブランドだが、2017年4月、ソフトウェア製品として「HPE Virtualized NonStop」が提供開始された。

 同製品では、無停止システムの中核となるHPE NonStop OSおよび無停止対応ミドルウェアが仮想マシン上で稼働する。そのため、仮想化環境でもNonStopが持っていた、実行プロセスの冗長化やトランザクションの一貫性保持などの機能と特徴をそのまま、ソフトウェアで利用可能にしている。

 NonStopの無停止を実現しているのが「プロセスペア技術」だ。異なるCPU上でプライマリとバックアップの2つのプロセスを実行。1つのプロセスが実処理を実行し(プライマリプロセス)、もう一方は処理を継続するために必要な情報を保持する(バックアップ)。プライマリプロセスが更新内容をバックアップに送信してメモリ内の同期をとることで、プライマリプロセス側のCPUに障害が起きた場合には、瞬時にHPE NonStop OSがバックアッププロセスをプライマリプロセスに昇格させ処理を継続する。

 一般的なクラスタシステムにおけるフェールオーバーでは、スタンバイ機でのアプリケーション再起動やロールバックが必要となってシステムが停止するケースも多いが、プロセスペア技術を搭載したNonStopはプロセスの再起動が不要で、ソフトウェア障害においても運用を継続できる。

 もちろん、HPE Virtualized NonStopにも、このプロセスペア技術が搭載されている。異なる仮想CPU上でプライマリとバックアップの2つのプロセスを実行させることで、仮想化環境においても無停止を実現する。これにより、オンプレミスとクラウドで構成されるハイブリッドクラウド環境において、オンプレミスにはコンバージドシステムであるHPE Integrity NonStopを、クラウドにはHPE Virtualized NonStopをといった使い分けも可能となった。

 同製品の大きな特徴は、この無停止に加え、利用目的や求める可用性に応じた柔軟な構成が可能なことだ。開発・検証環境用に集約度を高めてコストを抑えたり、可用性を優先してHPE NonStop OSをサーバーノードごとに構成したり、集約度と可用性のバランスをとりHPE NonStop OSを複数のサーバーノードに分散するといった構成も可能だ。

 HPE Virtualized NonStopはLinux KVM上で動作し、今後はVMware、Hyper-Vにも対応予定だ。管理にはオープンソースのクラウド基盤管理ソフトウェアのOpenStackを利用でき、NonStop Open System Managementとの連動で、仮想マシンの起動や構成変更などの自動化にも対応できる(図1)。

 HPE Virtualized NonStopの価格は、エントリークラス 2CPU 1コアで635万6400円(税別)から。

図1:HPE Virtualized NonStop の構成図(出典:日本ヒューレット・パッカード)

クラウド&データセンター完全ガイド2017年夏号