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昭電 - 巨大地震からデータセンターを守る――総合安全企業が追求するBCPソリューション

施設別BCPソリューション
データセンター
昭電
http://www.sdn.co.jp/jirei/solution/dc.html

未曾有の被害をもたらした3・11東日本大震災。今後も首都直下型地震や東海・東南海・南海連動地震など激甚災害の発生が危惧されており、BCP(事業継続計画)強化は、あらゆる企業にとって喫緊の課題となっている。そうした中で、「総合安全企業」として存在感を高めているのが昭電だ。創業50年の歴史を経て培ってきた技術とノウハウを武器に、製品から施工まで一貫提供するデータセンター向けBCPソリューションを拡充している。

創業50年の強みを活かし製品から施工までワンストップで提供

(写真左より)ソリューション営業部 課長 小林豪氏、執行役員 事業推進部長 加藤雅也氏、ソリューション営業部 課長代理 小山雄史氏、情報機器システム部 ソリューション技術グループ 課長 加藤拓也氏

 データセンター設備構築のパイオニアとして、雷害対策から、地震対策、ネットワーク、セキュリティまで、情報通信事業に不可欠なBCPソリューションをワンストップで提供している昭電。創業時から日本IBMと協業する同社の歴史は、コンピュータ用電源装置の販売に乗り出した1965年から始まった。当時はメインフレームの黎明期にあり、多くの企業が電算室の設置を開始していた頃だ。同社の執行役員であり事業推進部長を務める加藤雅也氏は、「当時の電算室も現在のデータセンターと同様に、ハイスペックの電源装置や二重床(フリーアクセスフロア)、専用空調などの特別仕様の設備が必要とされたのですが、すべての要件にワンストップで対応できる事業者は国内にほとんどありませんでした。当社はそのノウハウを日本IBMから学び、製品提供から施工工事まで一貫して提供できる企業として、事業を拡大していきました」と振り返る。

 また、ソリューション営業部 課長の小林豪氏も、「単なる工事請負だけではなく、ネットワーク設計やケーブルの整線まで、IT知識を活かしたソリューションを提供できるのは、当社の他にないと自負しています」と語る。

東日本大震災で1,000台以上のIT機器を守り抜いた免震装置

 現在、データセンターを対象とした「BCPソリューションの昭電」として、その名を広く知らしめる原動力の1つとなっているのが地震対策だ。その歴史も1970年に開発した「ダクトフロアの耐震工法」に遡る。これは、フリーアクセスフロアの床面パネルを支える支柱と支柱の間にV字型の部材を取り付けて補強を図る仕組みである。「関東大震災級の地震が起きても、コンピュータや通信機器の転倒や水平移動、ケーブルの脱落などを防止できる画期的なものでした」と、加藤雅也氏は語る。

 実際、同工法を採用した電力会社の電算室では、1977年に発生した宮城県沖地震でもコンピュータの倒壊を免れた。この実績により、昭電のもとに施工依頼が殺到したのである。

 もっとも、ストレージやサーバーなどの精密なIT機器の地震対策は耐震だけでは不十分で、高度なBCPのニーズに応えられない。地震の振動をIT機器に伝えない“免震”がデータセンターでは、より重視されることとなるが、「昭電は1980年代の半ばから、いち早く『部分免震』の研究開発に取り組んできました」と加藤雅也氏は強調する。

昭電が保有する、三次元地震波発生装置

 これまでも建屋免震や床免震といった技術が提唱されていたが、導入には多大なコストがかかる。新設ならまだしも既設のデータセンターに“後付け”で導入するのは容易ではない。そこで強く求められたのが、地震に脆弱な機器を重点的かつコスト効率よく保護できる部分免震だった。

 対して昭電は、電力会社等と共同で「磁気ディスク用免震装置」の開発に取り組み、免震特性の改善や信頼性試験を重ねてきた。その成果として1986年に製品化にこぎ着けたのが、SD免震装置「SD-1」である。以来、サーバーを止めない状態での設置や増設を可能とするラック用免震装置「SD-5 タイプⅠ」、改良型ラック用免震装置「SD-5 タイプⅡ」へと発展、多くのデータセンターにおいて活用が進んでいる。

 実際、2011年3月11日に起こった東日本大震災では、東北や関東地方のデータセンターに設置された同社の免震装置が1,000台以上のIT機器を守り抜いた。ソリューション営業部 課長代理の小山雄史氏は、「この実績により、当社の免震装置は年間2,000台へと需要が急伸、累計で1万台以上を出荷しています」と言う。2013年には、長周期地震動にも対応する「SD-6」をリリース。BCPの核心的ソリューションとして、ますます大きな期待を集めている。

昭電のデータセンター向けBCPソリューション

ITに関する知見をもとに上位レイヤーのソリューションを拡充

 近年では、データセンターのBCPを運用面から支援する「データセンターマネジメントソリューション」にも注力している。「CMS(コントロールルーム管理システム)」は、その一環をなすものだ。情報機器システム部 ソリューション技術グループ 課長の加藤拓也氏は、「CMSは、各種サーバーの画面やネットワーク監視画面、監視カメラの映像、インターネットから入手した地震情報・雷情報などの画面を監視センターに統合。複数の拠点間をまたいだ“見える化”を実現します。万が一、メインの監視センターが被災した場合も、他のセンターがすぐに代わって監視を継続します」と説明する。

CMSの概要図

 また、「サーバリモート管理ソリューション」は、サーバー障害に際してもハードウェアレベルでのリモートからの復旧を可能とする。さらに、AVAYA社のネットワーク仮想化スイッチ「SPB(Shortest Path Bridge)」をベースに大規模ネットワークを一元管理、障害時の迅速な復旧を支援している。「業界最先端かつ広範囲なソリューション提供を通じて、今後もデータセンターのBCPをリードしていきます」と、加藤雅也氏は力強くアピールした。

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