ヤマハ ネットワーク製品の「継承」と「挑戦」

ヤマハの新VPNルータ「RTX1210」を徹底レビュー! グラフィカルになったWeb GUI

 ヤマハ株式会社は11月27日に、中小規模拠点向けVPNルータの新モデル「RTX1210」を発売した。2008年に発売された前モデルの「RTX1200」との互換性や共通性を保ちつつ、内部の性能や機能は一新されているという、「継承と挑戦」のモデルだ。

 このRTX1210の実機を借りることができたので、レビューする。今回はまず、筐体の外見と、RTX1200から一新されたWebのGUIコンソールを見てみたい。

正面はそっくりだが、金属筐体などの違いも

 RTX1210をぱっと見たときの外見は、RTX1200によく似ている。ただし、箱から取り出して手にとったときには、写真で見る以上に、RTX1200のプラスチックから金属の筐体に変わったことを感じさせられる。

ヤマハのVPNルータの新製品「RTX1210」。外見は前モデルのRTX1200によく似ている

 大きさを比較してみると、高さと幅がRTX1200とほぼ同一で、奥行きが270mmから239mmに小さくなっている。これによって、金属筐体になっても重量が1.5kgと同一に収まっている。もちろんファンレスのまま、動作温度の上限値は40℃から45℃に向上している。

 正面の端子やランプは、シリアルコンソール端子がRJ45になっているほかは、個数や位置までRTX1200と同じになっているというこだわりようだ。ISDNのS/T端子も、RTX1200と同じ場所に付いている。

RTX1200(各写真の左側)とRTX1210(各写真の右側)。よく似ているが、並べてみるとプラスチック筐体と金属筐体の違いを感じる

 筐体まわりでは、AC240Vまでの電源に対応するようになったことにともない、電源ケーブルがRTX1200の直付け一体型から、着脱式になっている。ただし、電源ケーブルの接続部分は奥に凹んでおり、端子が筐体から飛び出さないようになっているほか、抜け防止金具で固定できる。ちなみに、電源ボタンも筐体から凹んだ奥に設けられている。

 なお、付属品をRTX1200と比べると、LANケーブルやシリアルケーブルは含まれていない。細かいところでは、付属品にゴム足が含まれ、最初に筐体の底に張り付けるようになっている。

付属品の電源ケーブル、抜け防止金具、ゴム足
電源ケーブルの接続部分は奥に凹んでいる
電源ケーブルを接続して固定

グラフィカルになりモニタリング表示を前面に

 ヤマハの企業向けルータ製品では、全機能を設定するには、シリアル接続やTELNET接続、SSH設定などによるコンソールから、コマンドで操作する。

 ただし、RTX1200以降では、最初からDHCPサーバーが動いて、LANポートに接続したPCからWebによるGUIから基本的な設定ができるようになっている。このWebによるGUIが、RTX1210では大きく様変わりした。

 RTX1210とRTX1200で、初めて接続したときのWebの管理画面を下に挙げる。これを見れば違いは一目瞭然だろう。

RTX1210(左)とRTX1200(右)に未設定状態で初めて接続したWeb GUI

 RTX1200のWeb GUIはテキスト中心で、メニュー階層をたどって設定していく。一方、RTX1210では、よりグラフィカルな表示になっている。最近のPCの画面のワイド化にともない、横幅を生かして効率よく情報を表示していることもわかる。

 このRTX1210のGUIのトップ画面は「ダッシュボード」と呼ばれ、設定というより情報の表示に重きを置いて作られている。初期状態からCPUとメモリのリソース状況や、トラフィックのグラフが表示されていて、ちょっとした監視ツールの画面のようだ。

 RTX1200でもリソースやトラフィックのグラフ表示機能は持っていた。ただし、メニューをたどったところにあり、トラフィック統計機能はデフォルトでオフになっていた。RTX1210ではこれらのモニタリング機能をGUIの前面にもってきたわけだ。

 ヤマハのネットワーク製品に慣れたエンジニアでは「設定はコンソールで充分」という人も多いだろう。しかし、リソースやトラフィックの状況を、統合監視ツールで常時監視しなくても一目で把握できるダッシュボードの機能は、使えば便利な人もいるのではないだろうか。

 ちなみに、正式対応するブラウザも、Internet Explorer(IE)のみだった従来製品に比べて対応を拡大。IE 9・10・11のほか、Chrome 37以降とFirefox 32以降、Safari 7以降に対応。iOSのSafariにも対応している。

RTX1200でのトラフィックのグラフ表示機能。メニューをたどったところにあり、デフォルトでオフになっていた
iPadでRTX1210のダッシュボードを表示したところ。ボタン状の選択が多いので、タッチUIでも使えそうだ

 最低限の初期設定は、画面左上に並んだボタンの中から「かんたん設定」に進む。アイコンや、JavaScriptによる画面進行、縦だけでなく横にも並ぶ画面構成など、今風の作りになっている。

 そのほか、IPフィルターやDHCPサーバーなどの設定は「詳細設定」から、RTX1210自身の管理は「アクセス管理」からできる。

 WebのGUIからは話がそれるが、RTX1210のコンソールでは日本語の文字コードとしてUTF-8を設定できるようになった。MacのターミナルからRTX1210のコンソールに接続する場合などに便利だろう。

「かんたん設定」から最低限の初期設定。管理者パスワードや、インタネットへの接続などを設定する
「詳細設定」でIPフィルターやDHCPなどを設定
「アクセス管理」でRTX1210自身の管理
コンソールでは日本語の文字コードとしてUTF-8が使えるようになった。この画面は、文字コードをUTF-8にしたうえで、文字コードの設定コマンドの選択肢を表示したところ

ガジェットで用途に合わせてカスタマイズ

 ダッシュボードのメイン部分に置かれている各情報表示は、「ガジェット」と呼ばれる。このガジェットを入れ替えたり追加したりすることで、必要な情報を中心にカスタマイズできるようになっている。

 まず、ガジェットの左上の「▼」をクリックすると、ガジェットが折り畳まれる。もう一度クリックすると、元に戻る。

 また、ガジェットのタイトルバーにマウスカーソルを持っていくと、右上に「分離」と「閉じる」のアイコンが表示される。「分離」をクリックすると、ガジェットがブラウザの独立したウィンドウとして表示され、ウィンドウを閉じると元に戻る。また、「閉じる」のアイコンをクリックすると、ガジェットが画面から消える。

ガジェットを折り畳んだところ
ガジェットのタイトルバーにマウスカーソルを持っていくと、「分離」と「閉じる」のアイコンが表示される

 ガジェットを直接ドラッグして、並べかえることもできる。また、画面右上の「ガジェット」アイコンをクリックして、ガジェットの追加や削除もできる。

 追加して便利なガジェットに、ログを表示する「SYSLOG」がある。これにより、直近のログをリアルタイムに表示できる。さらに、検索の機能を使って、特定の文字列を含むログだけに絞り込むことができる。検索対象は過去のものだけではないため、検索ボックスに文字列を指定した状態にしておくと、リアルタイムでログ表示をフィルタリングしてくれる。

ガジェットをドラッグして並べかえられる。この画面は「リソース情報」を「システム情報」の上に移動して見やすくしたところ
ガジェットの追加と削除
「SYSLOG」ガジェットを追加して、ログをリアルタイムに表示
ログの検索やフィルタリングもできる

 以上、RTX1210の外見とWeb GUIがRTX1200から変わった部分を見てきた。金属筐体やAC240V対応、動作温度の拡大は、海外市場なども意識してよりタフにしようという狙いと感じた。

 また、一新されたWeb GUIは、単に設定するだけではなく、情報をモニタリングし、トラブル時にすばやく状況を把握できる「ダッシュボード」は、Webによる管理ツールとして使えそうだ。

 次回はWeb GUIの続きで、RTX1210とヤマハ製ネットワーク機器で構成したLANと、そこに接続した機器をグラフィカルに管理する「LANマップ」機能について見てみたい。

(高橋 正和)