特別企画
仮想環境に特化して設計された新世代ストレージ「Tintri VMstoreシステム」【前編】
仮想化時代を支えるTintri独自のアーキテクチャについて
(2014/2/20 06:00)
運用中にストレージ性能の自動チューニングが行われるVMstore
VMstoreは、VM-Aware storageである強みを生かし、稼働中の仮想マシンに対して常にワークロード分析を実施し、その分析結果から最適なパフォーマンスが得られるように、チューニング(従来型のストレージシステムでいうところのQoS)を自動的に行う。また、仮想マシンごとに独立したキューを備えているため、ある仮想マシンで発生したストレージI/Oの過負荷が他の仮想マシンに影響を及ぼすこともない。
従来型のストレージシステムでは、IT管理者自身が仮想化の用途や規模に応じてチューニング作業を実施する必要があったが、VMstoreではサーバー仮想化であろうとデスクトップ仮想化であろうと、単に仮想化基盤を運用し続けるだけでストレージ側のパフォーマンスチューニングが自動的に行われるのだ。
Walters氏は、「仮想化の用途として多く挙げられるのが、サーバー仮想化とデスクトップ仮想化の2つです。どちらも名前こそ仮想化ですが、ストレージに対するアクセス特性はかなり異なり、ストレージの構成、設定、運用方法を用途に合わせて最適化する必要があります。これに対し、VMstoreは仮想マシン単位で自動的にチューニングが行われるため、仮想マシンがどのような用途で使われているかを問いません。1台のVMstoreにサーバー仮想環境とデスクトップ仮想環境を同時に集約できるだけでなく、それぞれがあたかも個別に最適化されたかのような優れたパフォーマンスを発揮するのです」と説明する。
このように、あらゆる用途で柔軟に利用できるVMstoreには、必然的に数多くの仮想マシンが収容されていく。しかし、顧客がVMstoreに仮想マシンを収容させすぎてしまうと、SSD上に置かれるホットデータの割合が99%を下回る可能性があり、結果的にHDDへのアクセス比率が増えて十分なストレージ性能を確保できなくなる。
Tintriは、このような事情を踏まえ、モデルごとに収容可能な仮想マシンの最大数をあらかじめ設定している。例えば、T650は2000台、T540は1000台、T620は500台をTintriが保証するサポート上限台数としている。
Wadher氏は「当社の製品サポートを受けていただく前提条件として、各モデルのサポート上限台数に収まる範囲で仮想マシンを収容していただくことが基本になります。しかし、お客さま自身が責任を持って運用してくださるのであれば、当社のサポート上限を超える台数を収容することも可能です。例えば、あるお客さまのT540(保証台数は1000台)では、本番システムと検証用システムを合わせて約1600台の仮想マシンが運用されています。ただし、検証用システムは常に動作してはいませんので、同時に稼働する仮想マシンの実質的な台数は当社のサポート上限を下回ります。だから運用できています」と述べている。
後編では、VMstore独自のデータ保護機能と管理プラットフォーム、そして将来の動向を取り上げていく。