ソフトイーサ、グローバル固定IPv6アドレス割当型トンネル接続実験サービスを公開
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グローバル固定 IPv6 アドレス割当型トンネル接続実験サービスを公開
無料で固定グローバル IPv6 アドレスセグメント (/64) の割当が可能。
PacketiX VPN の技術を使い、トンネルサーバーを筑波大学内に設置。
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2010 年 6 月 7 日 (月)
ソフトイーサ株式会社 技術開発部
(茨城県つくば市)
筑波大学発ベンチャー企業である ソフトイーサ株式会社 (以下「ソフトイーサ」といいます) と、筑波大学システム情報工学研究科産学間連携推進室 (AcademicCollaboration Room、以下「産学間連携推進室」といいます。) は、共同で「グローバル固定 IPv6 アドレス割当型トンネル接続実験サービス」を開発・構築し、本日公開しました。本サービスの Web サイトは、以下のとおりです。
・ グローバル・固定 IPv6 アドレス割当型トンネル接続実験サービス Web サイト
http://v6ip.tsukuba.wide.ad.jp/
グローバル固定 IPv6 アドレス割当型トンネル接続実験サービスは、筑波大学に設置した IPv6 トンネリング用の VPN サーバーに接続することにより、利用者に対して、個別に、固定でグローバルな IPv6 アドレスの /64 セグメントを 1個割り当て、IPv6 インターネットとの間でのコネクティビティを提供する、実験的な IPv6 over IPv4 サービスです。仮想的な IPv6 の ISP のように利用できます。
本サービスを使用すれば、IPv4 しか利用できない一般的なインターネット接続環境の下にいるユーザーが、自由に、IPv6 インターネットに接続し、IPv6 のインターネット Web サイトを閲覧したり、IPv6 のサーバーを設置したり、IPv6 に対応したリモートデスクトップサーバー機能 (Windows Vista 以降) を利用したり、IPv6 の実験をしたりすることができます。PacketiX VPN の透過性の高いSSL-VPN 技術を使用しているため、利用者は、NAT やルータ、ファイアウォール、プロキシサーバー、無線 LAN の配下であっても IPv6 アドレスの割り当てを受けることが可能になります。さらに、本サービスは海外からでも利用することができますので、海外において何らかの理由で IPv6 アドレスを必要とする場合に活用できます。
近年、IPv6 に関する注目が高まってきましたが、これまで固定 IPv6 アドレスの /64 の Prefix を割り当てる個人・小規模ユーザー向けの IPv6 トンネリングサービスはほとんどありませんでした。いくつかの IPv6 トンネリングサービスは、複雑なトンネリングの仕組みで IPv6 over IPv4 を実現していました。しかし、割り当てられる IPv6 アドレスが可変であったり、インターネットからの到達性が無かったりしました。
本サービスでは、1 ユーザーにつき 1 個の固定 IPv6 Prefix を割り当てます。PacketiX VPN のレイヤ 2 VPN 技術を使用することにより、ネイティブに IPv6ルータに直接 LAN ケーブルで接続したのと同様の効果を得ることができます。たとえば、複数台の PC に VPN クライアントをインストールすることでトンネリングサービスを利用できるほか (図 1)、自宅や会社などの拠点に 1 台の VPN Bridge を設置し、その VPN Bridge が既存の物理的な LAN に接続することにより、その既存の物理的な LAN 上のすべてに IPv6 固定アドレスを割り当てることができます (図 2)。
また、トンネリングサーバーは筑波大学に設置されており、IPv4 インターネットと IPv6 インターネットに 1Gbps の高速回線バックボーンで接続されています。IPv6 インターネットには WIDE プロジェクト Tsukuba NOC を経由して接続しており、途中に何らかのファイアウォール等の障壁はありません。すべての TCP/IP および UDP/IP その他のプロトコルのポートを利用できます。したがって、本サービスの利用者は、直接、IPv6 インターネットに接続しているのと同等の効果を得ることになります。たとえば、IPv6 の Web サーバーを自宅や会社に実験的に設置するために、本サービスを利用することができます。
図1:それぞれの PC に VPN Client をインストールして利用する例 |
図2:拠点などの LAN に VPN Bridge を設置して拠点内のすべての PC に IPv6 アドレスを割り当てる例 |
本サービスに登録した 1 ユーザーあたり、以下の IPv6 Prefix が固定的に割り当てられます。割り当てられた IPv6 Prefix は、本サービスからユーザーが削除されるか、または本サービスが停止するまでの間を継続して利用することができます。
2001:200:1c8:xxxx::/64
(xxxx の部分はユーザーごとに異なります。)
IPv6 アドレスは、VPN で仮想 HUB に接続すると、自動的に、トンネリングサービスを提供する上位のルータから、RA (Router Advertisement、ルータ広告) という ICMPv6 パケットによって /64 の固定 Prefix が割り当てられます。下位64 ビットのアドレスは、ユーザーが自由に指定することができます。特に指定しない場合は、OS によって MAC アドレスから、または乱数から自動生成されます。
一旦本サービスに VPN 接続すると、コンピュータは、直接 IPv6 インターネットに接続したのと同様に通信できるようになります。たとえば、IPv6 で有名なwww.kame.net に対して、本サービスのユーザーが tracert を行った結果の画面例を、図 3 に示します。
図3: 本サービスを用いて www.kame.net に対して tracert を実施した例 |
本サービスは、ソフトイーサと産学間連携推進室が共同で開発し、学術実験のために無償で提供いたします。本サービスの運用責任者 (サーバー等の設置主体) は、ソフトイーサです。本サービスは、どなたでも利用することができます。利用するにあたり、簡単なユーザー登録が必要です。登録はすぐに行うことができ、一瞬で、利用者専用の固定グローバル IPv6 アドレスが割り当てられます。
本サービスは学術実験であり、永続的に提供されることは保証されていません。しかし、ソフトイーサとしては、できるだけ長い期間、本サービスを無償で提供し続けることを予定しています。
ソフトイーサは、本サービスが、IPv6 に関する興味をお持ちの方が実際に固定のグローバル IPv6 アドレスを取得され、自宅等に Web サーバー等を設置してIPv6 と IPv4 との相違点を体験したり、IPv6 に対応したネットワークアプリケーションを開発したりする際のツールとして利用されることを期待しております。また、日本における IPv6 に関する関心度や理解が高まることに関して寄与することができれば幸いであると考えております。
● グローバル固定 IPv6 アドレス割当型トンネル接続実験サービスに関する Web サイト以下のリンクをご参照ください。・ グローバル・固定 IPv6 アドレス割当型トンネル接続実験サービス Web サイト
http://v6ip.tsukuba.wide.ad.jp/