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国内データセンター投資、2016年は大規模な新設/増設プロジェクトの完了で大幅増~IDC Japan

今後は新設を続ける事業者と設備をレンタルする事業者に2分化すると予測

 IDC Japan株式会社は12日、国内データセンター事業者のデータセンター投資予測および面積予測を発表した。

国内事業者データセンター新設/増設投資額予測:2015年~2020年(出展:IDC Japan)

 国内事業者データセンターの新設および増設投資については、拡大と縮小のサイクルを繰り返しており、2015年は縮小局面にあたったため前年比39.2%減の859億円だったが、2016年には大規模な新設/増設プロジェクトが複数完了する予定で、投資額は前年比81.9%増の1562億円と拡大に転じる見込みとしている。

 データセンター事業者による新設投資が継続する背景としては、企業の業務システムサーバーをデータセンターに移設する傾向が強まっていること、クラウドサービスを利用した新たなデジタルビジネスが拡大していることの2つが要因になっていると分析。一方で、建設コストの高止まりから、データセンター事業者の中には2020年までに大きなデータセンター投資を手控えるところも出てくるため、2017年~2020年の市場は縮小局面になると予測している。

 2020年までの期間において、大規模なデータセンター建設投資を行うのは、通信キャリアやITベンダーなどの大手企業に限定され、データセンター投資を手控える事業者は拡大する顧客のデマンドに対応するため、大手通信キャリアやITベンダーの設備を間借りしてサービス提供能力の維持を図ることになると予測。IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「2017年以降は大規模な建設投資によってファシリティを新設していくデータセンター事業者と、建設を手控え他事業者のファシリティをレンタルする事業者の2種類に市場のプレイヤーが分化していく」と分析している。

国内事業者データセンター延床面積予測:2015年~2020年(出展:IDC Japan)

 2015年末時点の国内事業者データセンターの延べ床面積の合計は193万7140平方メートル、2020年には212万682平方メートルに増加すると予測。2015年~2020年の年間平均成長率に換算すると、年1.8%の増加ペースとなる。

 延べ床面積の増加についても、国内企業におけるITインフラの運用場所が社内サーバールームなどから事業者データセンターに移行していることが背景にあると説明。この移行は、災害対策強化などによる情報システムの可用性改善を目的としているため、事業者は最新の設備仕様を備えたデータセンターの新設/増設を続けているとしている。

 また、クラウドサービス事業の拡大も背景にあり、クラウドサービス提供の基盤には、大量の電力供給および空調能力、大容量ネットワークインフラ、大容量IT機器を支えるための床構造などを備えたデータセンター設備が必要となり、クラウドサービス事業者がサービス提供能力を増強するために、高スペックなデータセンター新設に対して継続的に投資を行っていくと予測している。

三柳 英樹