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EMCジャパン、「データレイク 2.0」を具現化するソリューション

データレイクをコアからエッジ、クラウドまで拡張

 EMCジャパン株式会社は16日、「データレイク 2.0」戦略の一環として、「EMC Isilon」スケールアウトNASデータレイクの次世代ソリューションとなる、Software-Defined Storage(ソフトウェア定義ストレージ)製品「IsilonSD Edge」、次世代OS「Isilon OneFS」、ソフトウェアアプリケーション「Isilon CloudPools」を発表した。

 新製品の発表にあたって、米EMC エマージングテクノロジー事業部 EMC Isilonプロダクトライン担当シニアバイスプレジデントのフィル・バリンジャー氏が、同社が展開する「データレイク2.0」戦略について説明。「現在、ビジネス環境では3つの大きな変革が起こっている。まず、グローバル化の進展によって世界各地に拠点が分散し、拠点間のコラボレーションがますます重要になっている。次に、ビジネススピードが加速する中で、さらに素早い意思決定とビジネス展開が求められている。そして、増大し続けるデータを効率的に管理しながら価値を引き出すニーズが高まっている。当社では、こうしたビジネス環境に対応するべく、『データレイク』をさらに進化させた『データレイク 2.0』を展開する。『データレイク 2.0』では、コアとなるデータセンターだけにとどまらず、エッジとなる拠点やクラウドにまでデータレイクを拡張し、よりグローバルなデータ活用環境を実現していく」と述べた。

米EMC エマージングテクノロジー事業部 EMC Isilonプロダクトライン担当シニアバイスプレジデントのフィル・バリンジャー氏

 今回発表した3つの新製品は、この「データレイク 2.0」を具現化するためのソリューション群となる。100% Software-Defined Storage製品の「EMC IsilonSD Edge」は、コモディティハードウェアで稼働し、VMware ESXハイパーバイザーをサポートするとともに、VMware vCenter環境との完全な統合によって簡単な管理環境を提供。また、「OneFS」の能力に一切影響を与えることなく、あらゆるデータサービスとプロトコルをサポートしながら、ストレージ容量を最大36TBまで拡張することができるという。これにより、シームレスなデータレプリケーション(複製)やコアからのリストアを実現する。

 バリンジャー氏は、「従来のエッジ環境は、低容量、管理の複雑さ、異なる種類のPC環境の混在、場当たり的なガバナンス、低い生産性といった課題を抱えていた。『EMC IsilonSD Edge』は、エッジ環境を再定義し、これらの課題をすべて解消するソリューションとなっている」と説明している。

 次世代OS「Isilon OneFS」では、柔軟性を強化するとともに、管理環境の簡素化や効率性の向上を図り、大規模データレイクの継続的な稼働を実現する。「『Isilon OneFS』の重要な機能強化として、無停止アップグレード(NDU)のサポートをメジャーバージョンアップにも拡張した。これにより、大規模アップグレード時でもユーザーやアプリケーションワークロードのダウンタイムを回避することが可能となる。また、ソフトウェアアップグレードのロールバック機能も用意しており、必要に応じてアプリケーションやエンドユーザー環境をシームレスにアップグレード前の状態に回復させることができる」(バリンジャー氏)という。

 「EMC CloudPools」は、「Isilon」をパブリッククラウドやプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドへ簡単に拡張できるソフトウェアアプリケーション。これまで、コアからクラウドへのデータ拡張は、アプリケーションの中断やデータ形式の互換性の欠如、データセキュリティのリスク、メタデータへの低い可視性、複雑な管理環境など多くの課題があった。「EMC CloudPools」を活用することで、クラウドゲートウェイの必要なく、「Isilon」をAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Virtustreamなどのパブリッククラウドにネイティブに拡張できるという。また、データセンターを「EMC Elastic Cloud Storage(ECS)」に拡張し、「Isilon」をプライベートクラウドとして活用することも可能となっている。さらに、「Isilon」のコアネームスペースをクラウドに拡張することで、単一のネームスペースで場所に依存しないハイブリッドのデータアクセスを実現する。

「EMC CloudPools」のイメージ図

 セキュリティ機能としては、クラウドに階層化したデータを伝送時に暗号化、圧縮することで、クラウド環境におけるエンタープライズデータのセキュリティを確保。これにより企業は、データレイクをクラウド規模の容量に拡張しながら、一貫したデータへのアクセスと容易な管理が可能となる。

 新製品の価格は個別見積もり。提供開始時期は2016年第1四半期(1月から3月)を予定している。なお、「IsilonSD Edge」は、非本番環境向けに無償提供する予定で、本番環境での利用についてはクラスタごとにライセンス提供を行うという。

唐沢 正和