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マルチクラウドのライフサイクルをサポート、富士通エフサスの新サービス

 株式会社富士通エフサスは29日、パブリッククラウドやプライベートクラウドの複数/異種のクラウドについて、導入から運用までのライフサイクルをサポートするサービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service マルチクラウドLCMサービス」を発表した。販売目標は、2015~2017の3年の合計で1000億円。

 複数クラウドの運用状況を見える化する「マルチクラウド統合ポータル」を中心として、その上でコンサルティングの「Multi Cloud Consulting」、設計・構築の「Multi Cloud Design」、クラウド間移行の「Multi Cloud Migration」、運用自動化の「Multi Cloud Deployment」、統合リソース監視の「Multi Cloud Management」、監視・レーティングの「Multi Cloud Analysis」の6つのサービスをラインアップする。なお、Consulting、Design、Migrationは発表と同時に提供開始、DeploymentとManagementは9月提供開始予定、Analysisは2016年提供予定。

 マルチクラウドLCMサービスの提供の背景として、「クラウドはオンプレミスに比べて、購入や導入は容易だが、企画や運用工数は増大する」と富士通エフサス 代表取締役社長の髙萩弘氏は説明する。そして、企業の課題として、部門ごとに複数のクラウドが乱立して知らないところで運用が積み重なるケースや、従量制で予想外の費用が発生するケース、最適な選択を選んだはずが新しいサービスが次々に出てすぐに最適ではなくなるケースなどを挙げた。

富士通エフサス 代表取締役社長 髙萩弘氏
マルチクラウドLCMサービスの6つのサービス

 マルチクラウドとしては、ニフティクラウド、Trusted Public S5、A5 for Microsoft Azure、AWS、vCloud Airといったクラウドに対応。製品としても、富士通、VMware、Cisco、Trend Micro、NetApp、arcserve、SIOSといったマルチベンダーに対応する。

 マルチクラウド統合ポータルでは、これらのマルチクラウドについて、利用金額やサーバーの稼働台数、CPUの使用率、障害発生情報といった情報を収集し、整形と分析を経て可視化する。これにより「自分たちがどういう状況にあるか」と「世の中のクラウドはどうなっているか」を把握し、課金の一元管理や最適クラウド選択につなげる。

マルチクラウド統合ポータル

 マルチクラウドLCMサービスの特徴として「プロアクティブ運用」「クラウド進化への対応」「ワンストップ調達」の3つを、富士通エフサス 取締役 執行役員常務の平野一雄氏は挙げた。

 「プロアクティブ運用」は、富士通エフサスがクラウドでシステムを運用してきた経験をもとに、コストダウンと継続的なサービス改善を実現するもの。クラウドサービス情報や過去の構築実績をパターン化し、新しいシステム設計でのシミュレーションに応用する。また、過去のシステム構築実績を元に、共通するクラウドデザインパターンとしてパターン化することで、システム構築の工数やコストを60%削減するという。なお、パターンは新設する「マルチクラウド検証センター」で検証し、絶えず新しい状態に更新する。

 「クラウド進化への対応」としては、マルチクラウド検証センターを新設。東京センターに一部あった機能を拡張しつつ、関西、中部、東日本と全国に順次展開していく予定。これにより、運用から生まれるパターンを常に検証していく。さらに、従来のVMware技術者育成と同様に、社内のクラウドインテグレーション技術者を育成していく。2015年度で1,000名、2017年度までに2,000人を育成する予定(発表時点で500名)。

 「ワンストップ調達」は、顧客の要求に合わせてクラウドサービスの調達から提供までをワンストップで対応するもの。これにより、クラウド事業者ごとにサービス体系が異なる一方、利用企業では部門ごとにさまざまなクラウドが乱立するという問題に対応する。

富士通エフサス 取締役 執行役員常務 平野一雄氏
過去の構築実績をパターン化してシミュレーションに応用するプロアクティブ運用
マルチクラウド検証センターの新設
ワンストップ調達

高橋 正和