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日本ユニシス、2014年度決算は減収増益 2017年度に連結売上高3200億円を目指す
(2015/5/11 14:49)
日本ユニシス株式会社は11日、5月8日に2014年度(2014年4月~2015年3月)の連結業績を発表したことを受け、報道向けの説明会を開催した。
2014年度連結の売上高は、前年比4.8%減の2691億円、営業利益は同14.1%増の109億円、経常利益は同25.9%増の123億円、当期純利益は同14.9%増の72億円となった。
2014年度は中期経営計画の最終年度にあたり、同計画で掲げた売上高2800億円、営業利益率5.0%、当期純利益80億円と指標を下回ったが、ROEは10%、目標の8.8%を上回っている。
日本ユニシスの黒川茂社長は、「中期経営計画で掲げた売上高2800億円の計画は、2013年度に1年前倒しで実現したが、2014年度は製品販売の減少により減収。その点では残念だった。一方、営業利益はサービスの利益改善などにより、3カ年連続の増益。当期純利益は増益を確保し、ROEは10%になった」と振り返った。
また「中期経営計画では、コアビジネスの拡大、新ビジネスへの挑戦、経営基盤の強化の3点に取り組んだ。金融、流通などの基幹システムソリューションの展開、クラウドフェデレーション関連の強化のほか、業種・業界をまたがる決済関連やデジタルマーケティング、IoT関連などの新規事業への取り組みを開始したこともトピックのひとつ。さらに、人材の最適化とコスト構造改革、ビジネスリスクの管理強化により不採算案件を抑制した。だが、業種向け提案が不十分であること、インフラの競争激化への対応や、新ビジネスにおける早期の高収益化が課題と考えている。2015年度から、新たな中期経営計画を着実に進行させ、課題解決に全力で取り組む」と述べた。
また、日本ユニシス 代表取締役常務執行役員の向井俊雄氏は、「中・小型製品を中心にした製品販売の減収があったが、サービスの収益改善が続いている。その点では、2015年度に向けての懸念材料はない。(2014年度)第4四半期にも不採算案件は発生していない。第3四半期には不採算案件に関する引き当てを行ったが、これは第4四半期には行っていない。引き当てを行った当該システムは、秋の本番稼働に向けて着実に進んでいる」とした。
クラウドは想定ほど伸びず、ただし“それほど悲観していない”
セグメント別業績では、サービスの売上高は前年比0.6%減の1870億円、売上総利益が同8.3%増の477億円。そのうち、システムサービスの売上高が前年比2.9%減の834億円、売上総利益が同31.0%増の212億円。サポートサービスの売上高が同4.2%減の552億円、売上総利益が同11.0%減の163億円。アウトソーシングの売上高が同9.4%増の386億円、売上総利益が同7.5%増の76億円。その他サービスの売上高が同5.4%増の97億円、売上総利益が同5.6%増の25億円となった。
向井常務執行役員は、「アウトソーシングは、引き続き増収増益となっている。今年1月に北國銀行で、次世代オープン勘定系システムのBankVisionが本番稼働し、累計稼働行は9行になった。また大手信用金庫での勘定システムの採用が決定。小口の案件なども順調である」などとした。
また黒川社長は、「クラウド事業は、決算項目上ではアウトソーシングサービスに含めており、当社のU-Cloudのほかに、AWS、Azureをワンストップで提供できるのがクラウドサービスの特徴となる。だが、想定したほど伸びていない。顧客のICT最適化のひとつの実現手段としてクラウドを提案しており、クラウドがすべてではない。その点では、クラウドが伸びていないことはそれほど悲観していない」と語った。
ソフトウェアは売上高は前年比1.9%減の307億円、売上総利益が同9.4%減の86億円。そのうち、メインフレーム系の売上高は同23.9%減の76億円、オープン系が同8.3%増の231億円だった。
ハードウェアの売上高は前年比18.8%減の513億円、売上総利益が同29.7%減の69億円。そのうち、コンピュータ販売の売上高が前年比18.2%減の482億円、売上総利益が同30.2%減の48億円。コンピュータ賃貸収入の売上高が前年比26.9%減の31億円。売上総利益が同28.5%減の21億円となった。また、ハードウェアのうち、メインフレーム系の売上高は前年比33.6%減の27億円、オープン系が同17.8%減の487億円だった。
マーケット別の売上高は、金融機関が前年比13.9%減の676億円、官公庁が同6.2%減の159億円、製造が同18.0%増の467億円、商業・流通が同3.1%減の373億円、電力・サービスなどが同6.9%減の1016億円となった。
2015年度は過去最高の純利益を見込む
一方、2015年度の業績見通しは、売上高は前年比4.8%増の2800億円、営業利益は14.4%増の125億円、経常利益は3.0%減の120億円、当期純利益は17.3%増の85億円とした。当期純利益は過去最高を見込む。ROEは10%を見込む。
部門別の業績見通しは、サービスの売上高は前年比3.2%増の1930億円、売上総利益が同5.7%増の505億円。そのうち、システムサービスの売上高が前年比3.1%増の860億円、売上総利益が同5.1%増の223億円。サポートサービスの売上高が同2.3%減の540億円、売上総利益が同2.0%減の160億円。アウトソーシングの売上高が同11.3%増の430億円、売上総利益が同22.6%増の94億円。その他サービスの売上高が同2.1%増の100億円、売上総利益が同9.8%増の28億円となった。
「北國銀行のアウトソーシング案件は、2014年度は3カ月の貢献であったが、これが12カ月間、まるまる寄与することになり、金融における大型アウトソーシングが広がる。また、カード関連事業もアウトソーシングの増加に貢献することで増収増益になる」(黒川社長)という。
ソフトウェアの売上高は前年比4.1%増の320億円、売上総利益が同9.3%増の95億円。ハードウェアの売上高は前年比7.1%増の550億円、売上総利益が同7.4%増の75億円。そのうち、コンピュータ販売の売上高が前年比8.9%増の525億円、売上総利益が同19.9%増の58億円。コンピュータ賃貸収入の売上高が前年比19.8%減の25億円。売上総利益が同20.8%減の17億円となった。
マーケット別の売上高見通しは、金融機関が前年比6.0%増の717億円、官公庁が同2.1%減の156億円、製造が同7.3%増の501億円、商業・流通が同4.6%増の390億円、電力・サービスなどが同2.0%増の1036億円とした。
マイナンバー制度に関するビジネスについては、「当社は、官公庁ユーザーが少ないため、2015年度後半での貢献はないが、来年度以降、金融分野でのビジネスチャンスが出てくるだろう」と語った。
なお、不採算案件リスク費用として15億円を想定する。「2014年度は約10億円。これをゼロにすることは難しいと考えているが、プロジェクト管理をしっかりと行い、なるべく15億円の枠を使わないようにしたい」(黒川社長)。
新中期経営計画を策定、2017年度に連結売上高3200億円を目指す
2015年度からの3カ年計画「Innovative Challenge Plan」を策定。最終年度となる2017年度には、連結売上高で3200億円、営業利益は170億円、営業利益率5.3%を目指すことを明らかにした。ちなみに、同社は、2017年度末の2018年3月には創立60周年を迎える。また2020年度には3500億円の売上高を目指し、営業利益は8~9%を見込むとした。
ビジネスICプラットフォームの売上高が2800億円、デジタルイノベーションで300億円、ライフイノベーションが100億円を見込む。「成長領域は、デジタルイノベーション、ライフイノベーションと位置づけており、これらの成長領域に対しては、今後3年間で90億円の投資を予定している」という。
新中期経営計画では、「チャレンジと変革を実行するために組織改編および実行施策を開始」することを掲げ、「業種横断サービス強化」、「新事業創出強化と収益化」、「構造改革」、「人財変革」の4点に取り組む姿勢をみせた。
2015年4月から、決済イノベーションプロジェクト、マーケティングイノベーションプロジェクト、地方創生チャネルプロジェクトの3つのプロジェクトを発足。「これらの全社プロジェクトを通じて、業種横断で成長させるほか、新たな事業の早期立ち上げと事業化を進める。これらはDNPと連携する部分も多く、今後のDNPとの連携においても柱になる」(黒川社長)。DNPとの協業による売上高は2014年度実績で48億円。2015年度には104億円を見込む。
また、業種、業界をまたがる新たなビジネス創出のためのビジネスエコシステムを推進。営業を一本化し、横断提案によるワンストップ体制を確立。さらに、推進市場変化に柔軟に対応するためにユニット制を導入。また、システム部門では実行部門と新技術エンジニアを一体化。業種横断の知財を活用できる体制を整えたという。