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NTT Com、次世代NWサービスでSDN技術を活用した4つの新機能を提供
「Arcstar Universal One」のサービスを拡充
(2015/4/28 06:00)
NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は27日、次世代ネットワークサービス「Arcstar Universal One」において、SDN技術を活用した4つの新機能を5月から順次提供すると発表した。
Arcstar Universal Oneは、全世界196の国と地域で提供しているVPNサービス。世界で初めてNF技術を活用した「Arcstar Universal One アドバンストオプション」や、世界初の仮想ネットワーク「Arcstar Universal One Virtual」を提供するなど、世界最先端のネットワークサービスを提供してきた。
今回発表したのは、マルチクラウド、アセットライト、ネットワークコントロール、マルチクライアントの4つの機能。NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部長の大井貫取締役は、「SDNを活用して、Arcstar Universal Oneのサービスをさらに進化させることになる。クラウド化や仮想化、シームレス化といった新たな流れをとらえるサービスである一方、複雑化したIT環境、複雑化した利用環境、複雑化した運用環境といった課題を解決するものになる。先進技術を使った新たな機能によって、ユーザーのネットワーク環境を進化させることができる」と位置づけた。
「マルチクラウド」では、NTT Comが提供するクラウドサービスの「Bizホスティング Enterprise Cloud」に加えて、Microsoft AzureやAmazon Web Services(AWS)といった事業者クラウドを、迅速および高速に利用できるクラウド接続オプションを提供。Arcstar Universal Oneと事業者クラウドのインターフェイスは最大10Gbpsで接続するほか、これらを自動で接続する点も特徴。クラウドネットワーク間の迅速な接続が、ビジネスポータルサイトを通じてオンデマンドで行える。なお同機能は、今年8月から提供する。
「当社がArcstar Universal Oneと、AzureやAWSと事前に接続を実施することで、ユーザーはポータル経由で自動的に接続することができる。高速ニーズに対応でき、オンデマンドでの迅速な接続が可能になる。Arcstar Universal Oneのセキュアな環境で利用できるのが特徴」とした。
「アセットライト」では、NFVを活用した「Arcstar Universal One アドバンストオプション」を大幅に拡充する。アプリケーション高速化メニューに、クラウド向け通信の高速化機能、モバイル環境からの高速化機能を追加し、グローバルに提供するものだ。これは世界初の機能で、ユーザーの拠点とモバイル環境、クラウド間の通信におけるアプリケーションの高速化が可能になり、アプリケーションのパフォーマンス向上が図れる。
「資産コスト、保守コストに加えて、保守人員も削減でき、迅速なサービス提供が可能になる。NFVはまだ新たな技術だが、当社のNFVへの取り組みは、海外で高く評価されており、米GartnerのMagic Quadrantでは、WAN Optimizationの分野において、ビジョナリー(visionary)に位置づけられている。NFVにかかわる機能は、今後も逐次を追加していくことになる」とした。
「ネットワークコントロール」は、ユーザーのセンターなどの通信帯域をオンデマンドに変更できる機能を提供するものだ。通信帯域をリアルタイムに変更可能なオプション機能を、国内L3スタンダード型プレミアムプラン/ギャランティプランのほか、国内で初めて、イーサネット専用線でも提供。通常時よりも大きなネットワーク帯域で利用したい場合などは、ビジネスポータルサイトから簡単な操作で、オンデマンドで利用可能な帯域を設定できる。柔軟なネットワークリソースを利用できるのが強みだ。
「マルチクライアント」は、仮想ネットワークサービスのArcstar Universal One Virtualのグローバル展開を行うもので、さまざまなデバイスから、さまざまなネットワークを経由して、高セキュリティな環境でのクラウド接続を可能にするという。
「これまでは日本の顧客が海外に行く場合に利用できたが、米国などの海外の顧客も利用できるようになる。これは、終端装置を、欧米、アジアといった日本以外の場所に設置することで実現するものになる」とした。
さらに、「今回提供する4つの機能に関しては、ひとつのクラウドポータルから管理ができ、オンデマンドで、機能を自由にコントロールできるのも特徴である」と述べた。
また、昨今のネットワークおよびクラウドを取り巻く市場動向について説明した大井取締役は、「IoT時代が訪れるのに伴い、よりセキュアな環境が求められており、これがクラウド化の新たな流れを作っている。日本の製造業の進化を考えた場合にはセキュアなネットワーク環境はより必要になるだろう」と指摘。
「仮想化の範囲は、WANやLAN、端末まで、範囲が広がっており、サービス化が進んでいる。これによって、コスト削減や迅速性、オンデマンド利用が可能になるという流れがある。また、従来はビジネスがサイロ化していたため、ITもサイロで良かったが、企業活動がダイナミックに変化するなかで、部門を超えた、あるいは企業や国をまたがったIT環境づくりが必要になるといったシームレス化の動きがある。こうしたことが、ネットワークやクラウドの広がりを支えている」と述べた。
一方で「ユーザー企業においては、専門スタッフの雇用や新たなテクノロジーの採用などの課題をはじめとした『複雑化したIT環境』、ICTの状態の可視化が困難であることや、アプライアンス機器の散乱、セキュリティリスクの問題といった『複雑化した利用環境』、トラフィックの増加や、拠点およびクライアントの増加などによる『複雑化した運用化環境』といったペインポイントがある」と、現状の課題を指摘。
「クラウドとネットワークを簡単に利用したい、拠点をまたがった管理を統一的に行いたい、フレキシブルにネットワークを利用したいといった悩みを解決する必要がある。Arcstar Universal Oneの新機能などによって、ネットワークを進化させることで、こうした課題の解決を支援していきたい」と、新サービス提供の狙いを話している。