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日本IBM、Appleとの提携による「IBM MobileFirst for iOS」の事業展開を説明

企業向けモバイルアプリをエンドツーエンドで提供

日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業本部長のキャメロン・アート氏

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は14日、米Appleと提携して展開しているアプリケーション群「IBM MobileFirst for iOS」の、日本市場における事業概要と進ちょくについて、プレス説明会を開催した。

 「MobileFirst for iOS」は、Appleと米IBMのパートナーシップにより開発されているもので、ビジネスをモバイルで再設計し、プロフェッショナルの力を引き出すiPhoneとiPad向けのビジネスアプリケーションとなっている。

 日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業本部長のキャメロン・アート氏は、Appleとの提携について、「IBMとAppleのそれぞれがもつモバイル向け機能を結集し、企業向けに提供する。IBMのグローバル・ビジネス・サービスが蓄積してきた顧客支援の経験やコンサルティング、システム統合などのノウハウと、Appleのもつ美しいユーザー体験やエレガントなデザインを融合することで、業界特有の課題を解決する業界特化型ビジネスアプリケーションを実現していく」と説明した。

 また、「『MobileFirst for iOS』のアプリケーションを利用することで、顧客は創造力を発揮して企業内のさまざまなデータを活用し、ビッグデータやアナリティクスの力を従業員やプロフェッショナルに届けることができる。従来までのワークフローやプロセスを再構築し、ビジネスモデル自体を変革していくことも可能となる」と、そのメリットを強調。

 「今後も、IBMとAppleは、企業にとってよりシンプルで、より使いやすいモバイルアプリケーションを追求していく。そして、ビッグデータやアナリティクスの深い知見、業界に関する豊富な知識を生かし、優れたユーザー体験を顧客に提供していく」との考えを示した。

日本IBM GBS事業本部 モバイル事業統括部 事業部長の藤森慶太氏

 「MobileFirst for iOS」の日本市場での事業展開について、日本IBM GBS事業本部 モバイル事業統括部 事業部長の藤森慶太氏は、「企業のバックエンドシステムでは、高度なデータ分析が可能となった。一方で、ビジネスの現場では、その分析情報が生かし切れていないのが実情だ。こうした状況に対して、『MobileFirst for iOS』は、バックエンドとフロントエンドのシステムを統合し、分析情報を現場に届けるためのモバイルアプリケーションを提供する。Appleとの提携発表以来、日本市場でも、急ピッチで事業体制の整備を進めている」と述べた。

 具体的には、個人向けアプリと同等のユーザー体験を実現するべく、インタラクティブエクスペリエンスの専門部隊を設置し、企業向けモバイルアプリケーションのユーザビリティ向上に力を注いでいるという。

 また4月2日に、同社の幕張事業所内に「IBMモバイル・テスト・センター」を開設。モバイルアプリケーションの開発や運用におけるテストの実施を支援している。さらに4月8日には、JALと共同でApple Watch向けアプリを開発したことを発表しており、「今後もウエアラブル端末など、新しい領域のモバイルアプリ開発にもチャレンジしていく」としている。

 「すでに、国内のさまざまな業界の顧客に向けて、『MobileFirst for iOS』のコンサルティングやアプリケーション開発を進めている。Appleと提携した当社は、モバイルアプリケーションの設計・開発だけでなく、バージョンの維持管理やメンテナンス、デザイン、さらにはタブレット端末の販売まで、エンドツーエンドのソリューションを提供できる唯一のベンダーであると考えている。『MobileFirst for iOS』によって、日本企業のモバイル活用を加速していく」と意欲を見せていた。

「エージェント&アドバイザー(銀行)」アプリのデモ画面
「フィールドエンジニア」アプリのデモ画面

 また説明会では、「MobileFirst for iOS」アプリケーションのデモ展示も行われた。展示されたのは、「パイロット&フライトアテンダント」、「エージェント&アドバイザー(銀行)」、「エージェント&アドバイザー(保険)」、「フィールドエンジニア」、「店舗店員」、「ケースワーカー&警察官」、「テクニカル・サービス」の7つの業界向けソリューションで、3月30日に発表された日本語化を完了したアプリケーションを中心に、その機能や特徴が紹介された。

「店舗店員」アプリのデモ画面
「エージェント&アドバイザー(保険)」アプリのデモ画面
「ケースワーカー&警察官」アプリのデモ画面

 なお、現在、日本語化を完了している「MobileFirst for iOS」アプリケーションは、「Advise&Grow」(銀行・金融マーケット向け)、「Trusted Advice」(銀行・金融マーケット向け)、「Retention」(保険業向け)、「Case Advice 」(行政向け)、「Sales Assist」(小売業向け)、「Pick&Pack」(小売業向け)、「Expert Tech」(通信業向け)の7種となる。

唐沢 正和