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アラスジャパン、PLMソフトの最新バージョンとモバイルアプリを発表

新たにビジュアルコラボレーション機能を導入

アラスジャパン社長の久次昌彦氏

 アラスジャパン合同会社は1月28日、PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)ソフトウェアの最新バージョン「Aras Innovator 11」をリリースしたと発表した。また、同製品のための統合されたモバイルタブレットアプリケーション「Aras Flow」もあわせてリリースした。

 新製品の発表にあたり、アラスジャパン社長の久次昌彦氏が同社の事業概況について紹介した。「Aras Corporationは、今年で15年目をエンタープライズPLMソフトウェアベンダーで、SaaS型サブスクリプションモデルでビジネス展開をしている。グローバル市場では、8年連続で2桁成長を続けており、サブスクリプション売上は2013年度が前年度対比46%増、2014年度には同80%増を達成している」と、グローバル市場で急成長を続けているという。「日本市場においても、2012年以降の成長率は平均49%の伸びを記録しており、2014年末時点でユーザー数は約90社に達した」と、日本でのビジネスも好調に推移していると述べていた。

 「Aras Innovator」の特徴については、「『モデルベースSOAフレームワーク』というテクノロジーを採用し、顧客主導でデータモデルの変更も含めたカスタマイズを行うことが可能となっている。カスタマイズには、特別な知識は必要なく、プログラミングよりも簡単にモデリングを行うことができる。また、アップグレードコストがサブスクリプション価格に含まれているため、アップグレードも容易に行える」と、独自のテクノロジーを採用していることを強調。「機能としては、スタンドアロンやPLMで管理されているCADデータを統合管理できる機能を提供する。さらに、すべてのメジャーなMCAD/ECADをサポートしている」という。

 今回の最新バージョンは、プラットフォームに新しいセキュアソーシャルテクノロジーを使用したビジュアルコラボレーション機能を導入しているのが大きな特徴だ。久次氏は、「PLMシステムを活用しても、製品開発の課題が解決できていない企業は多い。特に、従来型のPLMシステムでは、タイムリーなコラボレーションを行うことができず、製品開発のビジネスプロセスを改善することが難しい状況だった。そこで、当社ではこうした課題を解決するべく、3年前からコラボレーションを効率化する機能の開発に取り組んでおり、今回、新たにビジュアルコラボレーション機能を提供する」と、新機能の開発経緯を説明した。

ビジュアルコラボレーション機能の概要
ビジュアルコラボレーションの効果

 ビジュアルコラボレーション機能では、専門分野や場所、組織をまたぎセキュアにコラボレーションするための迅速で最もシンプルな方法を提供する。具体的には、PLMアイテムのコンテキストに対し、コンテンツの表示、マークアップの追加、コメントの作成を簡単に行うことが可能となる。マークアップされたビューデータは、テキストコメントとともにディスカッションスレッドにリンクされ、適切な権限を持つ他のユーザーに表示される。また、PLMのセキュリティモデルは、重要な知的財産を保護し、ディスカッションの可視化と参加を制御。ユーザー認証によって各個人が確実に認証されているため、安全なコラボレーションを実現するという。

ビジュアルコラボレーションのデモ画面

 さらに、ビジュアルコラボレーション機能は、完全にブラウザ上で稼働するため、インストールやプラグインの必要がない。これによって、多くの拠点をもつグローバル企業やサプライヤー、製造の外部委託、世界中にいる設計パートナーがかかわるニーズにも対応できるようになっている。

 なお、同社では、「Aras Innovator 11」に合わせて、統合されたモバイルタブレットアプリケーション「Aras Flow」をリリースする。「Aras Flow」は、変更ワークフローとディスカッションへのコメント、可視化とマークアップをモバイル形式で提供する。これにより、会議の場や工場の現場、サプライヤーや顧客訪問時などの外出先からも、製品設計に関するディスカッションへの参加や図面の確認、モデルの朱記訂正(レッドライン)、変更の承認などを行うことができる。同アプリは、Windowsストアから無償で入手可能だ。

 今後の戦略について久次氏は、「2015年の製品ロードマップとしては、ビジュアルコラボレーション機能をベースに、MPPやMBOM、サプライヤーポータル、テクニカルパブリケーションといった機能をリリースする予定。そして、コミュニティドリブンのソリューションとして、しなやかなPLMやコラボレーションを最大化するプラットフォーム、業務に合わせたサービスを提供していく。2015年中に、『Aras Innovator』のカスタマーを150社に増加し、組立製造業トップ50におけるシェア30%獲得を目指す。さらに、『Aras Innovator』の利用ユーザーを3万人まで拡大していく」との考えを示した。

唐沢 正和