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愛生会病院がクラウド型で電子カルテ運用へ、地域医療連携に貢献

 北海道旭川市の医療法人愛生会病院が、株式会社富士通マーケティングの電子カルテ・クラウドサービス「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE Cloud Chart」を採用し、9月1日よりオーダリング運用を開始した。

 まずは、医療現場の一部業務を電子化し、病院業務の省力化を図るオーダリングシステム(検査・処方などにかかる情報伝達システム)として運用する。これは、従来医師が紙に書いたり、口頭で看護師や臨床検査技師に伝えていたオーダー(検査内容や処方箋の指示)を電子化し、関連部門で共有するもの。今後は2014年11月中をめどに電子カルテへ移行し、グループ内での標準化モデルとして推進する。

 HOPE Cloud Chartは、20床程度の中規模病院向けに電子カルテと医療事務システムのパッケージ機能を提供するクラウドサービス。同サービス導入で期待される効果として、入力情報のチェックやアラートなどの機能により、情報入力・伝達精度が向上。愛生会病院を実践モデルとしてグループ内での標準化も可能となり、事務・看護記録などの運用を統一することで情報共有が強化される。これらにより、受診歴や検査結果、画像データを踏まえた説明など、スムーズな診療を実現するという。

 また、富士通の高セキュリティ・堅牢なデータセンターによるクラウド基盤を活用することで、事業継続性を確保しながら、ハードウェアの初期投資を抑えることに成功した。

システム概要図

 愛生会病院では、従来より「医療の質のさらなる向上」「病院の経営基盤の強化」に積極的に取り組んできた。今回、Windows XPのシステム更新を契機として、ICTを活用した新たな施策を検討。各グループ病院間の正確な情報共有と、増え続けるカルテ・画像・紹介状などの医療情報を保管するスペース、高度化するシステムの運用管理といった課題を解決するためにはクラウドサービスが最適と判断し、HOPE Cloud Chartの導入を決定。

 今後は、グループ内の標準化を推進するとともに、地域医療ネットワーク「たいせつ安心i医療ネット」の情報提供病院となることも視野に入れ、近隣地域の医療機関との情報連携を強化。「地域社会のニーズに応える安全で質の高い医療を提供し、安心感のある病院づくり」を実践することで地域医療への貢献するとしている。

川島 弘之