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石巻市が庁内情報を一元化、組織横断的な被災者支援へ

 メディアテック株式会社、国際航業株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は22日、宮城県石巻市において庁内情報を一元化し、組織横断的に被災者を支援できる「被災者自立支援システム」を構築すると発表した。今秋の運用開始を目指す。

 東日本大震災の被災者に関する住所や公営住宅の申込先情報など、市の各部署が保有している基本情報と、被災者を支援している保健福祉の専門職などが持つ健康情報などを一元管理するシステムで、石巻市が、復興、医療・福祉といった震災後のコミュニティ形成に重要な情報提供を組織横断的に行えるよう支援する。

 被災地では現在、被災者が完成後に入居する公営住宅を事前に申し込み、移転先を定める作業が行われている。新居への移住後も心身ともに健やかに生活していくためには、地域コミュニティづくりや健康維持施策の充実が求められるが、被災地自治体では基礎的な住民情報も一部不正確なまま、平常時の行政運営や各種復興事業に取り組んでいるのが現状という。

 新システムでは、市民協働・住民台帳部局が管理する「現住所」や「被災時住所」、防災部局が管理する「罹災証明」や「避難行動要支援者」、医療・福祉部局が管理する「健康指導・ケア情報」、復興まちづくり部局が管理する「入居希望情報」などの基本情報と、「住民表示台帳・地番図・家屋図」「都市基盤復興状況縦覧図」などの地図情報を一元管理する。

 これらの情報を活用することで、石巻市は被災者がどの地区の防災集団移転用宅地への移転を希望し、これまで住んでいた地域のコミュニティや健康指導・ケアを担当した専門多職種の担当者、支援したボランティア、当該被災者とつながりがある者およびグループが入居している災害公営住宅などがあるかなどを把握しながら、きめ細かい住民ケアが可能になるという。

 さらに新システムで集約した情報は、仮設住宅の空き状況の把握、支援が必要な人の把握、地域ごとの健康状態の傾向など、石巻市の将来のまちづくりに有効な情報分析への活用も視野に入れる。

 なお、新システムは総務省の被災地域情報化推進事業の一環としてメディアテックが石巻市から受託したもの。メディアテックが全体のプロジェクトマネジメントを、国際航業が地理情報システムの構築を、日本IBMが統合データベースの構築およびビジネスインテリジェンスを担当し、今秋に運用を開始する予定。

川島 弘之