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ポリコムが新オフィス公開、テレビ会議などで新しい働き方を提案

 ポリコムジャパン株式会社は、6月9日に移転した新東京オフィスを公開し、フリーアドレスで社内・社外のどこでも働くことができる、テレビ会議システムを使った新しい働き方を紹介した。

 同社は全社員を対象にテレワーク・フレックス制度を導入。実現を前に、(1)制度改革、(2)インフラ・運用ルールの整備、(3)オフィスの最適化の3点を実施。今回公開した新オフィスは、このうちのオフィス最適化にあたる。テレワーク導入後は、外出しての業務が多い営業担当者の業務効率化、残業時のタクシー代が激減などの効果があがったほか、育児、介護などライフステージに応じた働き方につながっているという。

 今後、新オフィスをポリコム製品を体験する場として活用していく方針だ。7月7日にはポリコム製品とポリコム製品を使ったコミュニケーションを体感できる「東京カスタマー エクスペリンス センター」を開設。顧客がポリコム製品とソリューションを体感する場として活用していく。

 また同社では、ダイバーシティ推進を戦略として掲げている。同社の提供するコミュニケーションシステムの中には、遠隔地にいる同士でも顔を見ながら会議を行うことができるビデオ会議システムもあり、テレワークを行う際のインフラとして利用されている。

 テレワークを実践的に取り入れていくためには、(1)制度改革、(2)インフラ・運用ルールの整備、(3)オフィス最適化の3つが必要だとして、自身でも3つの整備を進めた。

ポリコムのダイバーシティ推進戦略
テレワーク・フレックス、育児、介護の面で制度改革

 制度改革としては、全社員にテレワークを許可。11時から15時までをコアタイムとして、開始時間と終了時間は8時間の間で自由に設定できるようにした。

 またライフステージに合わせた働き方の選択ができるように、育児サポート制度、介護サポート制度を導入。働き盛りの社員が自身の状況に合わせた働き方ができる制度も整えた。

 インフラ・運用ルールの整備としては、社員にノートパソコン、VPNネットワーク、Outlookによるスケジュール管理、Microsoft Lyncによるプレゼンス管理、VoIPフォン/社用電話、ビデオ会議のためのカメラなどを提供。運用ルールとして、労働時間中はプレゼンスを表示、Outlookの個人スケジュールの開示、セキュリティに対する意識向上、トップ自身がテレワークを実践しテレワークをよく理解すること、定期的な部門長との面談などのルールを策定した。

 オフィスの整備としては、外出しての業務が多い営業担当者向けにリージャスと契約して全国50拠点をサテライトオフィスとして利用可能とした。

 さらに新オフィスでは、「あらゆる“距離”の問題を解決するオフィス」をコンセプトに、技術職など固定席が必須となる専門職以外はフリーアドレスを導入。必要な時だけオフィスへ出勤するテレワーク特化型の仕事環境にシフトした。こうした施策により、従来に比べてオフィススペースは従来比で50%削減。モバイルワーカーに対しては、固定電話をなくしてソフトフォンもしくは携帯電話を利用することで経費の削減も実現している。

インフラ・運用ルールの整備
オフィス最適化

 新オフィスには顧客がポリコム製品を体感できる「東京カスタマー エクスペリエンス センター(TCEC)」を開設。要望に応じて顧客を招待し、ポリコム製品を体感してもらう場として活用する。

新オフィス。モバイルワーカー用の環境
東京カスタマー エクスペリエンス センター
マーケティング部の常松正樹部長

 「テレワークを導入する際、部下の評価が難しくなるのでは?という声も多い。しかし、部下が目の前にいても、目の前にいなくても仕事の成果は出てくる。その成果をどう評価するかがポイントであり、目の前にいないから部下の評価ができないということではないのではないか」と同社マーケティング部の常松正樹部長は指摘する。

 また、実際にテレワークを導入して感じた課題を、同社のビジネスオペレーションズ シニアマネージャー・藤井浩美氏は次のように話す。

 「課題として感じたのは大きく2点。一点目は物理的な課題で、当社製品に限らず、テレワーク全てに共通する課題として電気とネットワーク環境が必須となる。電気がないということは通常は起こりえないが、東日本大震災の時のような非常時には電気をどう確保するのかも課題となってくる。また、外で仕事をする際にはネットワーク環境が悪くなることもある。その際の対処方法を各自で考えることも課題となってくる。二つ目の課題は、社員が自分の仕事を正しくアピールできるのかという点。成果物や報連相をきちんと行い、自分にしかできない仕事をする、プロフェッショナルな意識があってこそテレワークが完結する」。

 自身が親の介護をする中でテレワークを利用したマーケティング部マーコム担当の石原聖子氏は、「事例として紹介した介護の際のテレワーク利用は私自身の経験を紹介している。介護の際にいた大阪の実家とサテライトオフィスを使っての業務は、本社で仕事をしている時と大きな違和感はほぼなかった」と話す。

 ポリコムでは介護をするための離職が大きく問題となっている中、「テレワークを利用すれば、介護離職の問題も大幅に軽減できるのではないか」としている。

通常業務での活用
マーケティング部 マーコム担当 石原聖子氏

三浦 優子