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新たな仮想化技術を実装、日立がストレージ新製品「VSP G1000」
2014年4月24日 06:00
株式会社日立製作所(以下、日立)は4月23日、エンタープライズディスクアレイシステム「Hitachi Virtual Storage Platform G1000(以下、VSP G1000)」を発表した。VSP G1000とあわせ、ストレージOS「Hitachi Storage Virtualization Operating System(以下、SVOS)」およびストレージ管理ソフト「Hitachi Command Suite 8」も同時にリリース。日立では、これら3つで構成されるシステムを新ストレージプラットフォームと位置づけ、同日より日本を含む世界各国で販売を開始した。
新ストレージプラットフォームでは、新たなストレージ仮想化技術「global virtualization」を採用した。日立 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部 事業主管の島田朗伸氏は、「日立では、2004年にストレージデバイスの仮想化技術を開発し、異機種ストレージの統合管理を実現した。2007年には容量の仮想化技術を開発、ボリューム容量設計の自動化ができるようになった。2010年にはストレージ階層の仮想化を実現し、性能が自動で最適化されるようになった」と、これまでの日立の仮想化技術の歴史を解説。今回のglobal virtualizationでは、「ストレージシステム全体を仮想化し、SLAに応じてワークロードを分散したり、サービスを継続したまま新旧のストレージ装置を入れ替えることが可能になる」と説明した。
具体的には、従来拠点をまたいだシステムの二重化環境では、副システム側のストレージでデータアクセスができず、通常時に副システム側のサーバー装置で業務アプリケーションが稼働できなかった。global virtualizationでは、正副の両ストレージを仮想的に1台のストレージとして扱うため、両方のストレージでデータアクセスができるという。これにより、仮想サーバーをシステム間で移動でき、負荷分散やメンテナンスの簡素化が可能になるという。
また、従来新しいストレージへの移行の際は、システムを停止する必要があったが、global virtualizationでは既存のストレージと新ストレージを1台のストレージとして扱えるため、システムを停止することなく新ストレージに移行できるという。既存のストレージとして対応する機種は、旧バージョンの「Hitachi Virtual Storage Platform(VSP)」と、「Hitachi Universal Storage Platform V」、「Hitachi Universal Storage Platform VM」となる。
VSP G1000のハードウェアも強化した。プロセッサボードを改良し、既存のVSPよりデータアクセス性能が約3倍の300万IOPS以上となった。また、従来はストレージ装置の拡張を見越して初期導入時に拡張用のスペースを用意する必要があったが、VSP G1000では最大100メートルまでラック間の分離設置が可能だという。
価格は、VSP G1000本体が1億1379万円(税別)から、ストレージ基本ソフトが1600万円(同)から、ストレージ階層仮想化機能が470万円(同)から、ストレージ稼働管理機能が240万円(同)から。
会見では、日立データシステムズ社 グローバルソリューション戦略・開発担当 エグゼクティブヴァイスプレジデントのジョン・マンスフィールド(John Mansfield)氏も登壇。VSP G1000を活用してクラスタ構成の可用性を実現したNTT Australiaの事例や、VSP G1000の階層化技術でデータを最適な階層に自動配置している台湾のStark Technologyの事例などを紹介した。
日立 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO 兼 ITプラットフォーム事業本部長の橋本崇弘氏によると、これまでは日立データシステムズ社が主に海外での販売、サポート、サービスを担当し、日立が製品開発を担当していたが、「今年からは一体となった運営方法に変える」という。「基本的な事業判断も、最大の市場である米国中心となる。両社一体となって事業をグローバルに成長させたい考えだ」と橋本氏は説明した。