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日本HP、統合型システムの進化版「HP ConvergedSystem」を発売
仮想化・クラウド・ビッグデータ・モバイルに特化した4製品
(2014/4/17 15:48)
日本HPは17日、アプリケーション稼働環境を迅速に構築できる統合型アプライアンスシステム「HP ConvergedSystem」を発表した。ワークロード別に「サーバー仮想化」「クラウド」「ビッグデータ」「モバイル」向けの4製品をラインアップする。併せて、OpenStackをベースに中核機能を刷新したクラウド基盤管理ソフト新製品「HP CloudSystem」も発売した。
同社は2009年11月に最初の統合型システム「HP BladeSystem Matrix」を発表している。新製品は、「HP BladeSystem Matrix」を拡張し、ワークロード特化とハイブリッドクラウド対応を進めた後継機となる。
HPサーバー事業統括本部 エンタープライズサーバー製品部長の中井大士氏は「SAP、Vertica、OpenStack、Citrix、VMwareなどの各ソフトウェア専用ハードウェアという発想」と、そのコンセプトを説明する。狙いは、各アプリに合わせて最適化されたサイジングと機器構成により、設計リスクを低減し、迅速な環境構築を可能にすること。それは従来より統合型システムの存在意義といえる価値であるが、モバイル・クラウド・ソーシャル・ビッグデータの台頭などにより急速に環境が変わる昨今、「統合型システムも次のステージへ、ワークロードに特化し、よりシンプル・オープンに運用でき、さらに激しくなるリソース変動に追随できなければならない」というわけだ。顧客からも自らインテグレーションするのではなく、基盤としてすぐに使える製品を求める声が多いという。実際、最短1日での購入、30日以内での納品、最短5日での拡張を実現している。
加えて、プライベートクラウド向けだった「HP BladeSystem Matrix」に対して、OpenStackで刷新したクラウド基盤管理ソフト「HP CloudSystem」を用意することで、ハイブリッドクラウドにも対応させたのが特長となる。
ラインアップは「サーバー仮想化」「クラウド」「ビッグデータ」「モバイル」の4つのワークロードに特化した4製品を用意した。
サーバー仮想化向け「HP ConvergedSystem for Virtualization」
サーバー仮想化に必要な機能を迅速に提供するのが、「HP ConvergedSystem for Virtualization」。日本HPで実証済みのベストプラクティス構成で、ボトルネックを排除した低リスクのシステムを構築できるという。仮想環境の上で稼働するパートナー企業のアプリケーションもスムーズに適用できるよう情報提供するのも特長。「HP App Map」と呼ばれるもので、SQL Server、Exchange Server、SharePoint Server、Red Hatなどの展開・チューニングのためのガイドラインを提供する。「ラボでの実装テスト、ベンチマークに基づく結果を踏まえた濃密なもの」(中井氏)という。
モデルとしては、ゲストOSが300程度までの中小規模向け「HP ConvergedSystem 300 for Virtualization」、1000程度までの大規模向け「同700」および「同700x」を用意。VMwareを対象とするが、構成をカスタマイズできる「同700x」なら、Microsoft Hyper-VやSystemCenterなどによる運用も可能となる。
同300の価格は2542万6600円(税別)から、同700の価格は6792万600円(同)から。参考として「競合ソリューションより、導入期間を33%短縮、導入費用を29%削減できる」(中井氏)とのこと。
クラウド向け「HP ConvergedSystem for Cloud」
クラウド向けには「HP ConvergedSystem 700x for Virtualization」をベースに、新たなクラウド基盤管理ソフト「HP CloudSystem」を搭載し、ハイブリッドクラウド環境を実現できるようにした「HP ConvergedSystem for Cloud」を用意。オンプレミス、クラウドの垣根を排除し、各リソースを一元的に管理・制御できる。「HP Public Cloud」「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」など主要なパブリッククラウドとのシステム連携に標準で対応する。
「700x」をベースとしたアプライアンス提供のほか、「HP CloudSystem」単体販売も行う。ラインアップはシンプルなIaaS環境を提供する「Foundation」と、クラウド連携、ポータルカスタマイズ、予測シミュレーションも含む高機能IaaS/PaaS環境を提供する「Enterprise」。ライセンス価格は、前者が12万1000円(税別)から、後者が36万8000円(同)から。
ビッグデータ向け「HP ConvergedSystem for Big Data」
ビッグデータ向けには、インメモリデータベース、SQL、Hadoopなど各種アプリ向けに最適なインフラ環境を提供する「HP ConvergedSystem for Big Data」を用意。第一弾として「SAP HANA」に対応した「HP ConvergedSystem 500 for SAP HANA」を提供する。SAP HANAを基盤とし、さらに信頼性を高めるため、SAP認定済みのバックアップソフト「HP Data Protector」、SAP HANAのクラスタを実現する「HP Service Guard for Linux」も標準搭載する。
価格は1225万4000円(税別)から。
モバイル向け「HP ConvergedSystem for Mobility」
モバイル向けには、リモートデスクトップ環境に最適化された「HP ConvergedSystem for Mobility」を用意。第一弾として一般的なVDIでは満たせないナレッジワーカーに求められる性能を確保するリモートPC環境(HDI:Hosted Desktop Infrastructure)に対応した「HP ConvergedSystem 100 for Hosted Desktop」を投入する。
特長は「HP Moonshot System」を活用する点。サーバーカートリッジ型の「HP ProLiant m700」による仮想化を使わないリモートデスクトップ環境を実現する。これを基盤に「Citrix XenDesktop」との連携テスト済み構成をセットアップガイドとともに提供する。
価格は1526万5000円(税別)から。