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M2Mの機械学習でビニールハウスの温度異常は予測できるか?~住友精密の挑戦
リアルタイム・ビッグデータ分析基盤「Jubatus」を活用
(2014/2/12 17:11)
住友精密工業株式会社(以下、住友精密)は12日、株式会社ブリスコラとともに、ビッグデータのリアルタイム分析基盤「Jubatus(ユバタス)」を活用したセンサーデータ機械学習検証システムを構築したと発表した。同検証により、住友精密が提供するビニールハウス温度管理サービスの高度化を目指す。
ビニールハウス温度管理サービスは、ビニールハウス内の温度とあらかじめ設定したしきい値を比較し、異常を自動検知、アラート送信するもの。従来の課題として、しきい値が年間を通して同一だったため、季節ごとのしきい値を設定できず、個々のビニールハウス環境に応じた異常検知もできなかった。
Jubatusを用いた検証では、「季節ごとの異常値の自動検知」と「最適な温度の自動設定」を目指す。
データの集合体から外れ値を自動検知する「Anomaly(Jubatusの外れ値検知機能)」により行った検証では、ビニールハウスの年間の観測データの中から、異常値と見なされるデータをJubatusが自動的に検知し、その学習成果に基づき、類似するデータを新たな異常として検知できた。さらに、月ごとに異なる異常値の検知にも成功したという。
今後、検証対象や分析アルゴリズムを増やし、異常検知の精度向上に努める予定。具体的には、ビニールハウスの温度設定は作物の生育ステージに沿って行われるので、このステージに沿った正しい温度カーブを機械学習することで、より厳密な異常検知を行えるようにする。
また、ビニールハウスでは加温のための燃料費高騰が問題となっているため、外気温なども解析対象に加え、省エネの加温方法を発見するほか、回帰分析アルゴリズムを用いて、結果としての異常値「検知」ではなく、近い将来の異常値「予測」も試みるという。
ビッグデータのリアルタイム分析基盤「Jubatus」
Jubatusは、NTTとPFI(Preferred Infrastructure)が2011年に共同開発し、オープンソースとして公開している、ビッグデータのリアルタイム分析基盤。機械学習を採用した分析ロジックを強みに、24時間365日連続運転で素早い処理が行える。分類・推薦・異常検知・クラスタリングなどをオンライン機械学習で実行しながら、データの流量・規模が増えた場合も、サーバーを多数並べるだけで負荷分散と可用性を同時に満たせるという。