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日立の2013年度第3四半期決算、情報・通信部門も売上高2けた増に
(2014/2/5 00:00)
株式会社日立製作所(以下、日立)は4日、2014年3月期の第3四半期決算を発表した。連結売上高は前年同期比9%増の2兆3037億円、営業利益は同79%増となる1220億円、受取利息および支払利息調整後税引き前四半期純利益(EBIT)は同170%増となる1697億円、四半期純利益は同367%増の945億円となった。
情報・通信部門も前年同期比11%増となる売上高4524億円を達成。この好調な結果を受けて通年見通しを上方修正し、売上高は前回見通しを2000億円上回る9兆4000億円、営業利益は100億円増となる5100億円、EBITは200億円増となる4600億円、当期純利益は50億円増となる2150億円とする。
「第4四半期を慎重に見通しているため、最低限でこの数字実現を目指す。実現すれば営業利益は1993年以来の過去最高益を更新することになる」(日立 執行役副社長CFOの中村豊明氏)。
日立製作所の第1四半期から第3四半期累計(2013年4月~12月)の連結決算は、売上高は前年同期比5%増となる6兆7744億円、営業利益は同27%増の2954億円、EBITは同67%増の3117億円、純利益は同153%増の1272億円となった。
第3四半期の営業利益増減要因としては、売価下落により300億円のマイナス、事業開発投資の30億円のマイナスがあったものの、操業度改善がプラス120億円、為替影響がプラス260億円、原価低減ほかの要因でプラス486億円の改善があり、さらに中期経営計画「Hitachi Smart Transformation Project」効果により280億円のプラスがあったことで、第3四半期に1220億円の営業利益を達成した。
国内、海外の第3四半期の売上高は、国内売上高が前年同期比1%減の1兆2390億円、海外が同23%増の1兆646億円。海外売上高の内訳は、アジアが同23%増の4899億円で、うち中国が同33%増の2618億円。北米が同22%増の2324億円、欧州が同38%増の2131億円、その他の地域が同4%増の1291億円。
国内売り上げは前年同期比1%減となっているが、「前年に電力部門で特需があったため、前年に比べると減少しているが、それでもほぼ横ばいというところまで売り上げも改善し、実質的には第3四半期から増収に転じている」(中村氏)と、実態としては好調となっている。
一方海外については、好調の要因が為替の影響で売り上げ増となっている部分もあるとのこと。
情報・通信システムは改善、3Qは前年を超える受注状況
事業部門別の第3四半期業績は、情報・通信システムの売上高が前年同期比11%増の4524億円、営業利益が前年同期から18億円増の177億円、EBITが同25億円増の187億円。
情報・通信システムは、為替影響などによりストレージソリューションの売り上げが増加し、サービスが堅調に推移したことで、部門全体で増収増益となった。ただし、「ストレージソリューションは、円で計算すると売り上げが増えているが、米国、中国などを含めストレージ市場全般が減少傾向にある。一方、海外で好調なのはATM事業で中国中心に相当数増え、売り上げ増となった」(中村氏)とストレージ事業の売り上げは増加したものの、事業としては好調とはいえない部分もある。
国内の情報・通信事業については、「第3四半期でようやく前年を超える受注状況となった。日本企業でも戦略的IT投資を行う流れが出てきた」と明るい材料も出ている。不採算案件についても、「大型の不採算案件が生まれると、人員をそちらに回さなければならなくなるため、他の事業にもマイナス影響を及ぼすことになるが、そのサイクルもようやく終息できた」と明るい状況となってきている。
電力システムは売上高が前年同期比3%減の1993億円、営業利益が前年同期からマイナス23億円の41億円、EBITが同マイナス20億円の74億円。社会・産業システムは売上高が前年同期比6%増の3136億円、営業利益が前年同期からマイナス16億円の96億円、EBITが同マイナス10億円の122億円。
電子装置・システムは売上高が前年同期比16%増の2524億円、営業利益が前年同期から128億円増の134億円、EBITが同133億円増の151億円。建設機械は売上高が前年と同じ1752億円、営業利益が前年同期から80億円増の174億円、EBITが同80億円増の181億円。
高機能材料は売上高が前年同期比4%増の3468億円、営業利益が前年同期から159億円増の239億円、EBITが同180億円増の268億円。オートモティブシステムは売上高が前年同期比16%増の2219億円、営業利益が前年同期から47億円増の115億円、EBITが同41億円増の131億円。
デジタルメディア・民生機器は売上高が前年同期比9%増の2160億円、営業利益が前年同期から33億円増の34億円、EBITが同35億円増の53億円。物流・サービスその他は売上高が前年同期比22%増の3251億円、営業利益が前年同期から53億円増の141億円、EBITが同65億円増の164億円。金融サービスは売上高が前年同期比3%増の833億円、営業利益が前年同期から29億円増の90億円、EBITが同21億円増の90億円。全社および消去は売上高がマイナス2828億円、営業利益がマイナス26億円、EBITが272億円。
2014年3月期の通期見通しは、売上高で前回見通しを2000億円、営業利益を100億円、EBITを200億円、当期純利益を50億円上方修正し、「なかなか更新できなかった、最高益を1993年来更新する見通しとなった」という。
第3四半期の好調さからすれば、堅い見通しとなるが、「あくまでも厳しめに見た」と慎重な見通しとなっている。
情報・通信システムの見通しについても情報修正し、売上高1兆8900億円、営業利益1200億円、EBIT1100億円を目指す。
これを実現するために中期経営計画のさらなる進ちょくによって生産コスト、直接材コスト、間接コストを削減し、イノベーション事業のグローバル展開、グローバルな経営体制と財務基盤の強化、グループ構造改革を引き続き進めていく。