ニュース

「世界最高クラスの性能」――富士通がストレージ「ETERNUS DX」新4機種

マルチプロセッシング技術や仮想化技術を導入

 富士通株式会社は6日、ディスクストレージ新製品「FUJITSU Storage ETERNUS DX series(以下、ETERNUS DX)」新4モデルと、ストレージ基盤ソフト「FUJITSU Storage ETERNUS SF 16(以下、ETERNUS SF 16)」を世界各国で発売した。

ETERNUS DX200 S3/DX600 S3
ETERNUS DXラインアップ
ランダムアクセス性能を従来比で最大5倍に

 新モデルには多数の強化が加えられている。「ETERNUS DX100 S3/DX200 S3/DX500 S3/DX600 S3」4モデルでは、マルチコア・マルチスレッド対応のプロセッサを採用し、キャッシュメモリ容量を従来比で最大4倍に。PCI Express 3.0、SAS 3.0など新技術も採用し、ランダムアクセス性能を従来比で最大5倍にした。同社は「世界最高クラスの性能」とアピールする。

 アーキテクチャも見直し、内部にハイパーバイザーを導入。仮想化技術によってソフトウェアやハードウェアを容易にアドオンできるようにした。ストレージにハイパーバイザー搭載は「国内初」とのことで、これを「Pluggable Architecture」と呼んでいる。仮想化技術の採用により、同一筐体内のSAN/NASの共存も実現。また、「仮想化技術の採用ではVM間のオーバーヘッドが問題となりがちだが、ネックとなる割り込み処理を少なくする独自技術で解決している」(ストレージシステム事業本部 ストレージシステム事業部長の金野茂生氏)とブレイクスルーも果たした。

 併せて「マルチプロセッシング技術」を実装。9月にEMCが110万IOPSを達成した新ストレージを発表したが、その性能実現にも一役買った「マルチコア最適化技術」と同等のものだ。I/O制御、暗号化、コピー、GUI、RAID演算といった各処理をコアごとに割り当てるのではなく、全コア横断で協力しながらすべての処理に取りかかる。コアリソースを平準化できるため、飛躍的に性能を向上できるというわけだ。

仮想化基盤とマルチプロセッシング技術でプラットフォームを刷新
ワークロードを最適に処理するマルチプロセッシング技術
データの読み込みを高速化する「Extreme Cache」

 上位2モデル「ETERNUS DX500 S3/DX600 S3」では、データの読み込みを高速化する「コントローラ内蔵型大容量フラッシュキャッシュ」に対応。システム性能強化が必要となった場合に、従来はディスクドライブ増設やデータ配置の見直しによって対応していたところを、コントローラユニットにフラッシュキャッシュ(Extreme Cache)をアドオンするだけで対応できる。専用スロットにカードを挿すだけで活性増設が可能という手軽さだ。最大5.6TBまで対応する。

 また、業務量の増大に速やかに対応するため、1筐体あたり60本のディスクドライブを搭載できる「高密度ドライブエンクロージャ」を新たにリリース。従来比で大規模ドライブ構成の設置スペースを半分以下にできるとした。

 価格は、DX100 S3が196万円(税別)から、DX200 S3が500万円(同)から、DX500 S3が793万6000円(同)から、DX600 S3が1155万7000円(同)から。12月6日より出荷を始める。

運用管理機能を強化した「ETERNUS SF 16」

SAN/NASストレージ領域の統合管理を実現

 ストレージ基盤ソフトの新版では、運用管理機能を強化。今回のストレージ新製品と組み合わせることで、処理スピードが求められる業務を優先的に処理するQoS機能が利用できる。あらかじめ業務の特性に合わせて「目標レスポンス」を設定すると、その達成度合いを自動でチェック&コントロールして、システムの使用効率を向上してくれる。

 性能チューニングを自動制御する機能や、より最適化されたストレージ自動階層機能も搭載された。SANストレージ領域とNAS領域を同一筐体内に統合し、統合コンソールで効率的に管理できるのも特徴だ。

 価格は、簡易版「ETERNUS SF Express 16」が16万円(税別)から。

処理スピードが求められる業務を優先的に処理
より最適化されたストレージ自動階層機能

富士通のストレージグローバル戦略

サービスプラットフォーム部門副部門長 執行役員常務の豊木則行氏

 IT業界はビッグデータ時代。富士通も6月24日に「FUJITSU Big Data Initiative」を発表し、10月28日に具体的なビッグデータ活用のオファリング10種を発表。このオファリングを支えるビッグデータプラットフォームの中核要素としてストレージシステムを据え、「新たな業務拡大に伴う処理の増大」「インフラへの投資コスト増」「増え続ける多様なデータの管理」といったストレージシステムの課題に取り組む姿勢だ。

 ETERNUSは世界80カ国で導入されているが「世界ではまだまだマイナーベンダ」(サービスプラットフォーム部門副部門長 執行役員常務の豊木則行氏)。一層のシェア拡大に向け、プラットフォームソリューションセンターを世界7拠点に設置し、さまざまな相互接続検証が行える検証環境を継続的に拡大していく。

 また、主要地域での取り組み強化として、EMEA地域では「成長著しいデータセンタービジネス拡充」「東欧・中東・アフリカなどの成長国攻略」を、アメリカ市場では「特定業種・地域に強みを持つパートナー提携による販路拡大」「ブラジルを中心とした南米ビジネス拡大」を、APAC地域では「チャネル協業による新興国の市場開拓」を促進するとしている。

プラットフォームソリューションセンターを世界7拠点に設置
主要地域での取り組み強化

川島 弘之